積水化学工業株式会社(以下、積水化学)は、住宅の断熱改修、電子機器の熱対策、再生可能エネルギーの活用と、多領域にわたる革新的技術を展開している。ZEH水準を超える住宅リノベーション「外壁TR」、高度な放熱材料の開発、そしてフィルム型ペロブスカイト太陽電池の実証実験など、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを加速させている。

既存住宅の断熱性能を向上させる「あったかハイムTR」

2050年カーボンニュートラルの実現に向け、住宅の省エネ化は不可欠だ。積水化学は、既存住宅の断熱リノベーション「あったかハイムTR」に新たな外壁仕様『外壁TR』を導入し、ZEH水準を超える断熱等級6相当の性能を実現した。
この新仕様では、従来の断熱工法に外張り断熱を組み合わせ、室内環境を快適に保ちながら光熱費の削減を可能にする。仮住まいを必要とせず、居住しながらのリフォームが可能である点も大きな特徴だ。加えて、外観の一新により住宅の資産価値向上にも寄与する。

『外壁TR』を追加した「あったかハイムTR」 による断熱性能向上効果(シミュレーション)

電子機器の進化を支える放熱技術

スマートフォンやEV(電気自動車)など、電子機器の高性能化が進む中、発熱対策が重要な課題となっている。積水化学は、放熱グリスや高熱伝導放熱シートなどの先進的な材料を開発し、半導体やEVの効率的な熱管理に貢献している。
特にEV向け放熱グリスは、-40℃から150℃までの温度帯に耐え、車両の軽量化と走行距離の延長に寄与する。また、高熱伝導放熱シートは、5G通信基地局やスーパーコンピューターなどの高性能機器にも採用されており、エレクトロニクス分野での需要が拡大している。

フィルム型ペロブスカイト太陽電池で再生可能エネルギーを推進

積水化学は、三菱UFJ銀行と協力し、昨年12月からフィルム型ペロブスカイト太陽電池の実証実験を開始した。この太陽電池は軽量で柔軟性があり、従来のシリコン系太陽電池では設置が困難だった場所にも設置可能だ。
今回の実証実験では、三菱UFJ銀行大井支店とMUFGグローバルラーニングセンターに太陽電池を設置し、耐久性や発電効率を検証する。2030年までに大規模導入が見込まれており、再生可能エネルギーの普及に向けた新たな選択肢として期待されている。
積水化学は「Innovation for the Earth」を掲げ、環境負荷の低減と社会貢献を目指している。住宅の省エネ化、電子機器の熱対策、再生可能エネルギーの導入といった多角的な取り組みを通じた、多様な技術革新に期待したい。

経済産業省資源エネルギー庁HP「日本の再エネ拡大の切り札、ペロブスカイト太陽電池とは?(前編)」より引用
積水化学が開発するフィルム型ペロブスカイト太陽電池(イメージ)

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