コスモエネルギーホールディングス株式会社は、使用済み食用油を再利用した航空燃料「SAF(サフ)」の量産化に、日本で初めて成功した。これにあわせて俳優・賀来賢人を起用した新TVCM『サフの音』篇を制作し、2025年4月4日から全国で放映を開始した。天ぷらを揚げる「サクッ」という音と航空燃料「サフ(SAF)」をかけたユニークな世界観で、一般消費者に再生可能エネルギーの意義を伝える。

使用済み食用油が航空燃料に。生活と空をつなぐエネルギー転換。
環境負荷の低減が社会的要請となる中、航空業界も脱炭素に向けた大きな変革を迫られている。その最前線に立つのが、再生可能資源から製造されるSAF(Sustainable Aviation Fuel)である。石油を原料とする従来のジェット燃料と比較して、ライフサイクル全体でのCO₂排出量を大幅に削減できるとされ、国際的な注目を集めてきた。
コスモエネルギーホールディングスは、このSAFの量産化に日本で初めて成功した。2025年4月の正式発表にあわせて制作された新TVCM『サフの音』篇では、身近な「天ぷら油」が未来の飛行機を飛ばす燃料になるという驚きを、コミカルな演出で描き出す。
CMには俳優・賀来賢人を起用。「こすも亭」の店主として、カウンター越しに天ぷら定食を提供する場面から始まる。顧客が天ぷらを頬張り「サクッ」という音を立てると、店主はそれを「サフっ」と聞き間違え、不思議なやりとりが展開される。やがて店主は、使用済みの食用油が再利用され、飛行機の燃料として生まれ変わることを語り、「サフの音がすんのよ」と胸を張る。耳に残るセリフと飛行機型の天ぷらで、「空を飛ぶ油」という未知の世界を印象付ける。
撮影は、賀来の集中力と即興性を生かして行われた。衣装にはコスモのブランドカラーを配し、細部にまで企業メッセージを込めた。現場では、定食メニューに目を留めて「こういう店が近所にあったらいいのに」と語るなど、演技外でも和やかな雰囲気を醸し出した。
賀来は、「使用済み油で飛行機が飛ぶとは思っていなかった」「ワクワクする技術」と語っており、CMを通じて、再生可能資源が空の未来を支える存在であることを身近に感じさせる狙いがある。
今後、コスモは量産体制を強化し、SAFの普及拡大を目指す構え。地上の食卓から空の移動へ──食用油の再利用を通じた資源循環が、新たなエネルギー転換のモデルケースとして注目される。航空業界における脱炭素化の鍵として、SAFはその存在感を増している。