国土交通省は、激甚化・頻発化する水害から国民の命と暮らしを守るため、「流域治水」に取り組む企業・団体を公式に認定する「流域治水オフィシャルサポーター制度」を創設した。2025年度にはすでに148の企業・団体が認定されており、今後さらに取組の輪を広げていく方針だ。

流域単位での治水対策を広げる新たな官民連携のかたち。
日本各地で水害が激甚化・頻発化している中、これまでの行政主導による河川管理や堤防整備だけでは限界が見え始めていた。そこで国土交通省は、流域全体での治水対策を進める「流域治水」戦略を推進している。特徴的なのは、その担い手として、企業や団体といった多様な関係者の積極的な参画を求めている点にある。
この一環として創設されたのが「流域治水オフィシャルサポーター制度」だ。本制度では、流域治水の取組に関与する企業・団体を「オフィシャルサポーター」として国が認定し、その活動内容を国土交通省のウェブサイトなどで紹介。さらに認定団体自身も、広報物やWebサイトなどで「オフィシャルサポーター」であることを明示することが可能となる。
制度への参画は任意だが、認定を希望する企業・団体は、次のようないずれかの活動を実施する必要がある。例えば、企業のWebサイトやSNSでの情報発信、広報資料の掲示、セミナーやイベントでの紹介、自社施設への貯留設備の導入、上流と下流地域との連携促進、自治体との防災協定の締結、避難所としての施設提供など、多岐にわたる取組が想定されている。これらはすべて、「流域治水」という共通課題の下で社会の協働を生むものだ。
2025年5月時点で、すでに148の企業・団体がこの制度に参加し、各地で具体的な行動に乗り出している。特設ページでは、認定団体の取り組み事例が一覧化され、他の企業・団体への波及効果も期待されている。
制度の認定期間は、認定日から2年後の年度末までとされており、継続を希望する場合は、更新申請を行う必要がある。令和7年度の申請受付はすでに終了したが、次年度以降も継続的な募集が予定されており、今後ますます多くの事業者の参画が見込まれている。
河川だけでなく、地域社会全体を包摂する治水対策へ。この制度は、災害に強い国づくりの新たな一歩として、企業や地域の自発的な取り組みが、流域ごとの「防災文化」として根付いていく可能性を秘めている。

国土交通省「流域治水オフィシャルサポーター制度」ホームページ
https://www.mlit.go.jp/river/kasen/suisin/supporter.html
令和7年度認定企業・団体一覧
https://www.mlit.go.jp/river/kasen/suisin/pdf/supporter_list_r7.pdf
令和7年度認定企業・団体の取り組み内容等一覧
https://www.mlit.go.jp/river/kasen/suisin/pdf/supporter_details_r7.pdf