土が喜ぶ地球をめざして。京都を拠点に活動するファッションブランドNADELL(ナデル)は、オーガニックコットンを軸とした循環型ものづくりに挑んでいる。自然と調和する衣服の設計、長く着ることへの哲学、そして着る人の内側から湧きあがる“快適”という感覚を、衣服を通して再発見させてくれる存在だ。2025年には新ライン「旅する天竺」や初のユニセックスシリーズも登場し、NADELLは次なるステージへと踏み出している。

“快適さ”は土壌から始まる。NADELLが描く持続可能な衣服づくり。
2025年春に発表された「旅する天竺」シリーズは、NADELLのコンセプトを端的に表現するコレクションだ。最大の特徴は、三角形の構成美を取り入れた独特のパターン設計。身体の動きに呼応し、着る人の所作に美しさと静けさをもたらす設計がなされている。
アイテムには、ナデルオリジナルの天竺素材を使用。しなやかさと通気性を兼ね備え、旅先でも日常でも、心地よさを失わない設計となっている。ナチュラルな風合いと構築的なフォルムの対話は、着る人の内面の静けさを呼び起こすようだ。

リラックスと凛々しさを共存させる、ユニセックスラインの可能性。
NADELLにとって初のユニセックス対応コレクションも注目を集めている。性別を問わないサイズ設計により、身体の輪郭を否定するのではなく、自然体を受け入れるシルエットが生まれた。
特に「空気をまとうカットソー」「重ねを楽しむパンツ」などは、リラックス感と凛々しさを両立させた逸品。生地には厚みとハリを持たせ、身体の線を拾いすぎないバランスに調整されている。心と身体に余白を与えるデザインが、これからのファッションの選択肢を広げている。

着て、戻す。NADELLの“循環”が描く未来。
NADELLの最大の特長は、製品が“循環の中にあること”を前提にしている点にある。製品の素材は自然由来のものに限定され、化学的な処理を避け、土に還る設計がなされている。
さらに、リペアサービスやパーツ交換、アップサイクルも積極的に行っており、「買って終わり」ではない衣服との関係性を提案する。2012年からは「循環ギフト」として、贈り物の形にもその思想を展開。贈った人と受け取った人の間に、環境と感謝の連鎖を生む取り組みとして注目されている。

着た後の“未来”まで配慮する。お手入れまで含めたサステナブルな設計。
NADELLでは、製品購入時に丁寧な「お手入れガイド」が添えられている。洗濯時の水温や干し方、日々の取り扱いについても細やかな配慮がなされ、製品寿命を伸ばす工夫が随所に施されている。
衣服は消耗品ではなく、共に過ごす“道具”であり、“関係性”であるという思想が、こうしたガイドの一文一文に宿っている。ファッション業界全体が見過ごしてきた“使用後の風景”にまで目を向けた姿勢は、他ブランドと一線を画すものだ。
NADELLの衣服は、土壌と人間、自然と文化を繋ぐための「装置」のようなものだ。大量生産と消費が支配してきたファッションの文脈において、NADELLが問い直しているのは、“快適とは何か”“美しさとは何か”そして“未来に手渡せる衣服とは何か”という根源的なテーマのような気がする。

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