川越プリンスホテルは、2025年9月1日から11月30日まで「埼玉県フェア~秋の収穫祭~」を開催する。今年で2回目を迎えるこのフェアでは、ASTRA FOOD PLAN株式会社が開発したアップサイクル食品パウダー『ぐるりこ®』を使った特別メニューが提供される。規格外農作物や食品工場の端材といった「かくれフードロス」を活用し、埼玉の豊かな食材とともに、持続可能な食のあり方を提示する試みが話題を集めている。

未利用資源をアップサイクルし、食と環境の調和を実現。
食品ロス削減への取り組みが世界的に求められる中、日本国内では年間2000万トンに及ぶ「かくれフードロス」が発生しているとされる。これは、消費者が目にする売れ残りや廃棄食品に加え、食品工場の副産物や規格外農作物など、これまで十分に活用されてこなかった資源を含む。ASTRA FOOD PLANが開発した『ぐるりこ®』は、これらを乾燥・殺菌し高付加価値のパウダーとして再生する技術で、風味や栄養価を保ちながら多彩な料理への利用を可能にしている。
川越プリンスホテルでのフェアでは、この『ぐるりこ®』を活用した料理が和洋中のレストランに並ぶ。ブッフェレストラン「エトワール」ではゴボウぐるりこ入りミートローフやタマネギぐるりこを使ったチキン料理が提供され、和食「むさし野」では目板鰈の文化揚げにタマネギぐるりこを組み合わせた一品が登場する。中国料理「古稀殿」ではゴボウぐるりこを用いた創作料理が振る舞われ、いずれも“ロスを活かす美味しさ”を体現している。
さらに、地元の狭山茶を使ったモンブランの食べ比べや、地酒「鏡山」の酒粕和え、埼玉県産のねぎと海の幸を取り入れた春巻きなど、地域食材を生かした限定メニューも提供される。食品ロス削減と地域振興の両面を結びつけた企画であり、サーキュラーエコノミーの実践的なモデルともいえる。
川越プリンスホテルの総支配人は「旬の埼玉食材に加え、未利用資源から生まれた高付加価値パウダー『ぐるりこ®』を組み合わせることで、食を通じて環境問題に触れる機会を提供したい」と語る。観光地・小江戸川越を訪れる人々にとって、本フェアは単なる食のイベントではなく、持続可能な社会への意識を高める体験の場となるだろう。
今後も食品産業におけるフードロス削減は大きな課題であり、同フェアの取り組みはその解決に向けた一つの方向性を示している。川越の街とホテルが発信する「食と環境の調和」のメッセージは、地域を超えて広がっていく可能性を秘めている。


