コクヨとスマイルズが共催する「バトンのヨコク カンファレンス2025」が、2025年10月31日にコクヨ品川オフィス「THE CAMPUS」で開かれる。環境省による“地域循環共生圏”の最新トピックから、道の駅、ローカルメディア、地域ものづくりまで、現場のアクターを一堂に招く。見て・聴いて・思考して・交流する流れを一日で完結させる構成で、今年は課題設定を実地で学ぶ新ワークショップ「カダイエット」も初導入する。

展示と対話、そして実践――「ピントとヒント」を成果に変える一日の設計。
地域課題の議論は、事例紹介に終始すると再現性を欠きがちだ。本カンファレンスはその弱点を踏まえ、観察・対話・演習の三つを連結させる設計に踏み込んだ。
「地域をめぐるピントとヒント展」では、全国の挑戦事例を“課題設定(ピント)”と“創造的視点(ヒント)”で読み解く。続くトークセッション群では、環境省 地域循環共生圏推進室の植竹朋子氏が、環境・社会・経済の同時解決を掲げる政策思想をひもとき、道の駅運営、ローカルスーパー、地域ものづくり、ローカルメディア、都市圏と地域をつなぐハブづくりなど、多様な現場知が重層的に立ち上がる。
展示で得たインプットを文脈化し、セッションで論点を立て、最後に「カダイエット」で課題を“絞り込む”。会場内で課題設定→アイデア発散→再定義を往復し、「ヨコク商店街を活性化せよ」というお題にチームで挑む流れだ。単なる成功談の蒐集ではなく、自分の現場へ持ち帰れる“思考の型”を体感することに主眼が置かれている。


会場はコクヨの「THE CAMPUS」。ワークショップと展示、セッションを同一動線に置くことで、来場者は移動のロスなく体験を重ねられる。
参加対象は自治体職員、商工会、企業の新規事業担当、学生、有識者まで広い。料金は一般5,000円(早割3,500円)、学生300円、自治体・公社・商工会は無料とし、裾野を意図的に広げた。
加えて「空想旅行代理店」では、日本各地の観光パンフレットを媒介に来場者の“旅の嗜好”と地域の独自性をマッチング。交流の締めくくりには大名刺交換会を設け、会場内で生まれた仮説を人のつながりへと接続する。
地域は単一のKPIで測れない。人口動態、産業構造、景観、文化、気候危機――相互作用が複雑なほど、まず問うべきは「どの課題にピントを合わせるか」だろう。
本カンファレンスは、政策と現場、メディアとビジネス、文化と観光を横断しながら、課題の見立てと解像度を上げる稀有な訓練の場となるはずだ。
観察と対話と実践が一日で循環するこの設計は、地域課題の“次の一手”を探す参加者にとって、確かな手触りを残すに違いない。

あわせて読みたい記事

【自治体職員向け】地域循環共生圏を推進する「Platform Clover」とは?環境省の新たなオンラインプラットフォームの活用法

コクヨ×ChopValue Japan「使用済み割り箸を活用したオフィス家具」

たとえばこんな地域循環モデル。環境先進都市・亀岡の、「8」のつく日はサーキュラーかめおかラボ「めぐるひろばプロジェクト」。

「見た目」ではなく「工夫」を問う。日本各地の土地の営みを集めた「デザイン物産2025」。