
★要点
環境省が、地域課題を環境・経済・社会の三側面から同時解決する「地域循環共生圏」の拡大を目指すフォーラムを11月18日(火)に東京で開催。省庁横断の施策解説に加え、コクヨ、東急不動産などの企業や、京都信用金庫、三井住友信託銀行といった金融機関が、なぜ今「地域」に着目するのか、その実践と哲学を共有する。
★背景
人口減少と高齢化が加速し、持続可能な地域づくりは国家的な重要課題。従来の縦割り行政や単発の企業CSRでは限界が見える中、地域の資源(自然、文化、人)を活かし、官民金の連携で新たな価値を共創する「地域循環共生圏」という考え方が、新たな成長戦略の核として位置づけられている。
もはや、企業や金融機関が「地域」と無関係でいられる時代は終わった。その事実を突きつけるのが、環境省が主催する「地域循環共生圏フォーラム2025」だ。11月18日(火)、東京・内幸町のイイノホール&カンファレンスセンターで13時から開催されるこのフォーラムは、環境・厚労・経産・総務の4省庁が施策を語り、先進企業が実践を共有し、金融機関が投資の論理を明かす。日本の未来を担うプレーヤーたちが、地域という“ゲーム盤”の上で、いかに連携し、価値を生み出していくかを問う、戦略会議が始まる。
なぜ企業は地域を目指すのか?──コクヨ、東急不動産の実践
フォーラムの核心の一つが、企業が地域に関わる理由を深掘りするセッションだ。登壇するのは、オフィス家具の枠を超え、岡山県真庭市で地域共創の拠点「蒜山ひととき」を運営するコクヨ。そして、リゾート開発を通じて千葉県勝浦市の「藻場保全」に取り組むなど、地域の自然資本に深くコミットする東急不動産。 彼らの実践が示すのは、もはや企業の地域貢献が、コストやCSR活動の一環ではないという事実。地域の課題解決に深く関わること自体が、新たな事業機会を創出し、企業ブランドの価値を高め、未来の顧客とのエンゲージメントを築くための、極めて合理的な「投資」であるという視点だ。
お金の流れが変わる──地域金融とメガバンクの新たな役割
地域の未来を語る上で、血液ともいえる「お金」の流れは不可欠。このフォーラムでは、地域に根ざす京都信用金庫や中国銀行系のキャピタルパートナーズ、山口フィナンシャルグループ傘下のYMFG ZONEプランニング、そしてメガバンクである三井住友信託銀行などが、金融の視点から地域との関わりを語る。 彼らが注目するのは、単なる融資先の財務状況だけではない。その事業が地域の環境や社会にどのような良い影響を与えるかという「インパクト」だ。ソーシャル・グッドな事業にこそ、持続的な成長の可能性がある。そうした価値判断の転換が、地域にお金が流れる新しい仕組みを生み出し始めている。金融が、地域課題解決の触媒として機能する時代の到来だ。
省庁の壁を越え、官民金の連携を探る
このフォーラムのユニークさは、環境省だけでなく、厚生労働省(地域福祉)、経済産業省(商業)、総務省(地域政策)といった、異なる省庁の担当者が一堂に会し、それぞれの地域施策を横断的に語る点にある。 日本の地域が抱える課題は、環境、福祉、経済、人口減少など、複雑に絡み合っている。縦割りの政策では、もはや太刀打ちできない。企業や金融機関、そして地域住民が、これらの多様な政策をいかに組み合わせ、自分たちの地域に最適な解決策をデザインしていくか。本フォーラムは、そのための羅針盤と、共に航海に出る仲間を見つけるための、絶好の機会となるだろう。
【開催概要】
日時: 令和7年11月18日(火) 13:00~17:05
※その後、交流タイム・情報交換会あり
場所 : イイノホール&カンファレンスセンター (東京都千代田区内幸町2-1-1 飯野ビルディング4階)
主催 : 環境省
参加費 : 無料
定員 : 会場500名(オンラインとのハイブリッド開催)
Webサイト: https://chiikijunkan.env.go.jp/tsukuru/#a-tsukuru-event
参加費は無料で、会場の定員は500名。オンラインとのハイブリッド形式で開催される。
参加申込は、11月17日までに公式フォームから行う必要がある。
申込フォームURL: https://business.form-mailer.jp/lp/687b4b77309401
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