日立造船と日本郵船が、国際海運の温室効果ガス排出削減に向け、アンモニア燃料船搭載のN2Oリアクタ開発プロジェクトを開始。NEDOのGI基金事業「次世代船舶の開発プロジェクト」に採択された。
グリーンイノベーションへの挑戦
日立造船株式会社と日本郵船株式会社は、国際海事機関(IMO)が掲げる2050年実質ゼロの温室効果ガス(GHG)排出削減目標に貢献するため、アンモニア燃料船搭載のN2O(亜酸化窒素)除去装置「N2Oリアクタ」の開発に乗り出す。このプロジェクトは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金事業による「次世代船舶の開発プロジェクト」に採択された。
アンモニアを燃料とした場合に排出されるN2Oは、地球温暖化係数がCO2の約300倍と非常に高いため、アンモニア燃料船の実現にはN2Oの排出量削減が欠かせない。本プロジェクトでは、日立造船の触媒技術を活かし、N2Oを効率的に除去するリアクタの開発とその船舶への搭載を目指す。
日立造船は舶用2ストロークエンジン向けにN2O削減のための触媒開発および装置化、機器配置の最適化などを行い、日本郵船は2026年11月竣工予定のアンモニア燃料船にN2Oリアクタを搭載し、実証航海による安全性・性能確認などを担当する。さらに、基礎研究や国際的なガイドライン策定に関する協力は、日本海事協会(ClassNK)が行う予定である。
日立造船と日本郵船、そして協力機関の日本海事協会は、本プロジェクトを通じて、GHG排出削減に向けた国際海運業界の挑戦をリードし、カーボンニュートラルな海上輸送の早期実現を目指す。N2Oリアクタの開発・普及は、国際海運における環境負荷の低減に大きく貢献することが期待される。