無印良品を運営する株式会社良品計画は、佐賀県唐津市と大分県日田市において、無印良品初となる木造建築店舗「無印良品 唐津」「無印良品 日田」をそれぞれ9月にオープンする。この店舗は、日本で初めて大規模木造建築物として『ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)』認証を取得し、環境配慮と持続可能性を追求した施設となる。

良品計画が目指す「住み続けたい」と住民に感じてもらえる環境づくりとは?

良品計画は、唐津市と日田市の両市と地域防災に関する連携協定を結んでおり、新店舗は地域防災力の向上に貢献する。また、3世代が共に暮らすことが多いこれらの地域において、世代を超えた交流の場となることを目指し、長期にわたる営業を計画している。地域住民に「住み続けたい」と感じてもらえるような環境を提供し、次世代に誇りを持って住み続けてもらえる地域づくりを支援する方針だ。
無印良品として初めての木造建築店舗となる「無印良品 唐津」「無印良品 日田」では、グループ企業のMUJI HOUSEが設計を担当。耐震性能に優れた木造ラーメン構造「SE構法」を採用し、省エネ・創エネ技術を組み合わせることで『ZEB』認証を取得した。建物で消費するエネルギーの総量を削減し、太陽光発電や蓄電池を活用することで、一次エネルギー消費量のゼロ化を実現する。
木造建築においては、高性能断熱材を使用した屋根や外壁、人感やCO2センサーで制御される高効率空調設備が導入され、環境負荷の軽減が図られている。また、従来の鉄骨造店舗に比べ、CO2排出量を大幅に削減できる点も評価されている。
新店舗では、防災設備の提供も行われる。災害時には、通常はベンチとして使用される「かまどベンチ」や、下水道と直結できる「マンホールトイレ」、太陽光パネルを利用した電子機器用充電ステーションが活用される予定だ。これにより、災害発生時に地域住民が安心して利用できる場として機能することを目指す。
特に、「無印良品 日田」のかまどベンチは、地元の小学生と共同で製作されたもので、地域とのつながりを象徴する設備となっている。
良品計画は、資源循環型社会の実現を目指し、店舗でリユース・リサイクルを推進する「ReMUJI」プロジェクトを展開。唐津市と日田市の両店舗では、回収した服を再生して販売する「ReMUJI」商品の期間限定販売を行うほか、古本の回収も実施。回収した古本は地域の児童支援施設に寄付される予定だ。
また、店内には九州産の木材を活用した内装や休憩スペースが設けられ、地域とのコミュニケーションの場としての役割も果たす。唐津市、日田市産の切株や丸太を使ったベンチが設置されており、地元の素材が地域のアイデンティティを強調する役割を担っている。
無印良品の木造建築店舗は、環境に配慮しつつ地域との共生を目指した新たな試みだ。唐津市と日田市における新店舗の開業は、持続可能な社会の実現に向けた一歩となると同時に、地域の人々が集い、支え合う場としての役割も期待されている。


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