竹中工務店は、2025年の大阪・関西万博の会場内に提供する仮設建築物「森になる建築」の構造体を完成させた。生分解性樹脂を用いた一体型3Dプリント建築として、世界最大規模を誇るこの建物はギネス世界記録に認定された。未来の建築を象徴するこのプロジェクトは、持続可能な社会への大きな一歩となるだろう。

3Dプリント完了時 外観
3Dプリント完了時 内観

ギネス世界記録に認定された「森になる建築」の未来を育む提案

竹中工務店が手がける「森になる建築」は、大阪・関西万博会場の「大地の広場」に設置される仮設建築物だ。生分解性樹脂を使用した一体造形の3Dプリント技術を駆使し、最大規模の建築物として10月25日にギネス世界記録に認定された。直径4.65メートル、高さ2.95メートルの2棟の建築物は、万博期間中、来場者の休憩スペースとして利用される予定。
このプロジェクトの秀逸な点は、廃棄物になる建築物ではなく、未来の森を育むことを目的としていることだ。建築物の使用後には素材が自然に還り、次世代の自然環境を形成する構想で設計されているのだ。2020年に同社グループ内で実施された提案コンペで最優秀賞を受賞した「Seeds Paper Pavilion」のアイデアをもとに、竹中工務店は技術開発を進め、大型3Dプリンターを活用した試験を重ねてきた。そして本年4月に実物サイズの出力試験に成功し、8月には万博会場での施工が開始された。
また「森になる建築」は、伝統工芸による和紙や、植物の種を混ぜ込んだ「シーズペーパー」を外装材に採用するなど、手作業の温かみと最先端技術を融合させたユニークな取り組みでもある。外装工事と緑化工事を進め、2025年4月の万博開催までに完成を目指している。
「種」として次世代へ引き継がれ、未来の森となる構想が根底にある竹中工務店の「森になる建築」は、使い終わると廃棄物になる従来の建築とは全く異なる、建築技術の新たな可能性を示すものだ。

「森になる建築」の完成イメージ
※現時点の想定であり、今後の技術開発等により変更する可能性があります。

ホームページはこちら