★ここが重要!

★要点
アクタス(東京都新宿区/代表取締役社長 村田 謙)が運営する天王洲のコンセプトストア「SLOW HOUSE」で、規格外品やサンプル品などを特別価格で販売する「エコループストア」を開催。再開発による同店の一時閉店を前に、倉庫に眠る“お宝”や店舗備品を放出し、家具の廃棄を減らす循環型消費を提案する。
★背景
大量生産・大量廃棄への反省から、サーキュラーエコノミーへの転換が加速するインテリア業界。傷や不揃いを「欠陥」ではなく「愛着」として再定義し、長く使い続ける文化を根付かせることが、企業の責務であり消費者の新たな豊かさとなっている。

完璧な新品だけが、本当に豊かなのか。天王洲の運河沿い、古き良き倉庫の面影を残す「SLOW HOUSE」が、その問いに対する一つの答えを出そうとしている。
再開発に伴う閉店を目前に控えた12月、同店で開催されるのは「エコループストア」。並ぶのは、開発段階のサンプル、製造過程で傷ついた家具、役割を終えたディスプレイ備品たち。通常なら市場に出ないこれらの品々を救出し、次の使い手へと渡す。モノの価値を「規格」から「物語」へと書き換える、最後の実験場だ。

「できそこない」は「一点もの」だ――規格外品に宿るクラフトマンシップ

会場に集められるのは、いわゆるB品たち。だが、アクタスはそれらを「できそこない」「あまりもの」と呼びつつも、愛情を込めて紹介する。
例えば、節(フシ)が目立つためにラインから外れた木製家具。機能には何ら問題がないどころか、その歪みこそが天然素材の証であり、画一的な工業製品にはない表情を見せる。カーテン製造で生じた端切れも、アイデア次第でクッションや小物へと姿を変える素材だ。
傷もムラも、見方を変えれば「景色」。完璧さを求めるあまり捨てられてきたリソースを、ユーザーの想像力で補完し、愛着へと昇華させる。ここにあるのは、消費者が試されるクリエイティブな余白だ。

天王洲の記憶を手渡す――店舗ディスプレイやヴィンテージの放出

今回のイベントが特別なのは、これが「SLOW HOUSE」天王洲店での最後の祭典だからだ。2014年からこの地で「丁寧な暮らし」を発信してきた店舗は、再開発の波にのまれ、12月26日をもって幕を下ろす。
そのフィナーレを飾るべく、倉庫の奥だけでなく、店内で長年使われてきたディスプレイ備品や照明も放出される。「これ、売っていないのですか?」と客に問われ続けてきた非売品たちが、ついに市場に出る。
さらに、バイヤーが北欧で買い付け、職人がリペアを施した1950~60年代のヴィンテージ家具も並ぶ。数十年前に海を渡り、天王洲で時を過ごし、また誰かの家へと旅立つ。場所は消えても、モノに刻まれた時間と記憶は循環し続ける。

“捨てる”をなくす循環システム――家具の寿命を延ばす責任

「永く使い続けること」こそが、最も環境負荷の低いサステナブルな行動である。アクタスの哲学はシンプルだ。
安価な家具を短期間で買い替える消費スタイルは、資源枯渇と廃棄物増大を招く。対して、修理しながら使い継ぐヴィンテージや、B品を救済するエコループストアは、家具の寿命を物理的にも心理的にも延伸させる取り組みと言える。
インテリア業界において、生産・販売だけでなく「その後」まで責任を持つサーキュラーエコノミーの実践は急務。アクタスが見せるこのモデルケースは、閉店という節目すらも資源循環の機会に変える、成熟した企業姿勢の表れだ。

天王洲からのラストメッセージ

運河沿いの倉庫街で育まれた「SLOW HOUSE」の空気感。それを自宅に持ち帰ることができる最後のチャンスとなる。
新品のカタログからは選べない、偶然の出会い。傷のある椅子に座り、「この傷も味だ」と思えたなら、あなたのライフスタイルはすでに次のフェーズに入っている。
都市の更新で建物は変わるだろう。だが、ここで手に入れた家具とともに過ごす時間は、長く続いていくはずだ。

【イベント概要】

企画展名:アクタスに眠るお宝たち。よみがえりの祭典「エコループストア」

会場:SLOW HOUSE(東京都品川区東品川2-1-3)

会期:2025年12月6日(土)~12月26日(金)

営業時間:11:00~19:00 ※水曜定休

公式サイト:https://www.actus-interior.com/news/ecoloopstore-slowhouse2512/

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