D&DEPARTMENT PROJECTが運営するd47 MUSEUMで、2025年7月4日から10月19日まで、第36回企画展「LONG LIFE DESIGN 4 デザイン物産 2025」を開催中だ。全国47都道府県から選ばれた“工夫のデザイン”を物産展スタイルで紹介し、土地の営みや地域資源を可視化する新しいスタイルから、多くの学びが得られる。

伝統と創造のあいだで、“工夫のかたち”を紐解く47の物語。

「その土地らしさを、息長く続けていくために──」。D&DEPARTMENTが掲げる“ロングライフデザイン”という哲学が、再び全国の物産に光を当てる。
2025年7月、渋谷ヒカリエ8階のd47 MUSEUMで幕を開けた「デザイン物産 2025」は、2014年以来11年ぶりの「デザイン物産」展の第2弾だ。今回は単なる商品の造形や意匠ではなく、地域に根ざした“工夫のデザイン”に焦点を当て、食や道具、素材、仕組み、発信の手法に至るまで、広義の「デザイン」を展示する。
たとえば、秋田のファームガーデンたそがれが手がける「沼山大根のいぶりぬか漬け」は、気候風土に根差した保存食文化の知恵を継承する一例だ。また、愛知からは尾州産地の継承と挑戦を体現する「びしゅうのズボン」が登場。沖縄からは、月桃やソテツなど在来植物を使ったバッグを制作する「島遊舎かぁらんやー」が、土地資源を未来へ繋ぐ道を模索する姿を提示している。
こうした出展品は、全国47都道府県から1つずつ選ばれた“営みの結晶”ともいえるもので、来場者は買い物という日常的な行為を通じて、それぞれの地域の文化や工夫に触れることができる。この展覧会は、ミュージアムでありながら物産展でもあり、体験型であることが大きな特徴。各出展者によるワークショップやトークイベントも随時開催され、公式書籍や音声ガイドなども用意されている。

地域にとっての価値の源泉とは何だろう?

2014年の前回展では「伝統」と「現代性」の融合にスポットが当てられたが、今回のキーワードは“仕組みと持続可能性”。課題解決を支える「見えないデザイン」への評価軸が確立しつつあるなかで、本展はその実践例を示す場でもある。農産物に宿る発酵技術や、風景に溶け込む建築の素材感といった、一見して“商品”ではないものこそが、地域にとっての価値の源泉であるという視点が、全体を通底している。
D&DEPARTMENTは2000年の創設以来、47都道府県に一拠点ずつ構えながら、日本各地の“らしさ”を見直す活動を展開してきた。本展もその延長線上にあるものだが、単なる展示ではなく、“買えるミュージアム”として地域経済と生活者をつなぐ設計思想に貫かれている。
地方の課題が東京で語られるのではなく、地域の知恵が東京で手に取られ、再び各地へ還元される。そんな往還の起点として、「デザイン物産 2025」は“見せる”だけでは終わらない、実践型の文化展覧会と言えるだろう。

展覧会概要
LONG LIFE DESIGN 4 デザイン物産 2025 47都道府県の工夫のデザイン
会期:2025年7月4日(金) ~10月19日(日) 会期中無休
時間:12:00~20:00 (最終入館 19:30)
会場:d47 MUSEUM (ディ ヨンナナ ミュージアム)
   東京都渋谷区渋谷2-21-1 渋谷ヒカリエ8階
入館料:ドネーション形式 (会場受付)
主催:D&DEPARTMENT PROJECT 
特別協賛:東急株式会社 Creative Space 8/
協賛:カシオ計算機株式会社

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