
★要点
柴咲コウがディレクターを務めるサステナビューティーファッションブランド「MES VACANCES(ミヴァコンス)」が、25AWコレクションを発表。廃棄される素材や環境に配慮した製法にこだわりながらも、「可愛い」「着たい」という純粋な魅力を追求し、義務感ではない「サステナビューティー」という新たな価値観を提案。
★背景
ファッション業界は大量生産・大量消費の構造が環境負荷の大きな原因と指摘され、サステナブルな転換が急務。しかし、「サステナブル=我慢」というイメージが消費行動の障壁になる中、美しさや楽しさを追求しながら自然に環境貢献できる「サステナビューティー」の概念が、持続可能な社会への新たなアプローチとして注目される。
環境に優しいだけでは、もう物足りない。俳優・柴咲コウが手掛けるファッションブランド「MES VACANCES」が、25AWコレクションで新たな価値観を提示した。「Asymétrie(アシンメトリー)」をテーマに掲げ、不均衡の中に宿る美しさを表現しながら、その根底には徹底したサステナブルなものづくりがある。「サステナブルだから選ぶ」のではなく、「着たい服が、実はサステナブルだった」という、軽やかで洗練された「サステナビューティー」という概念は、消費行動の未来をそっと変えようとしている。
「旅するように暮らす」──アシンメトリーが描く日常の華やぎ。
「MES VACANCES」が掲げるコンセプトは「旅するように暮らす」。日々の生活の中に、旅のような自由で心地よい感覚を取り入れることを目指している。25AWのテーマ「Asymétrie(アシンメトリー)」は、まさにこの哲学と共鳴する。左右非対称のデザインは、シンメトリーでは表現しきれない奥行きや立体感を生み出し、動きに合わせて変化する陰影や、異なる素材の重なりが日常にさりげない華やぎを添える。秋冬らしい温もりある素材感を大切にしつつも、重たさを感じさせない軽やかさをプラス。纏う人の所作やシルエットに寄り添い、心地よさと洗練を両立させるデザインは、まさに「計算されたバランスの中に、ひとさじの遊び心」を忍ばせたものだ。

“サステナブルだから”を超えて。「心惹かれる美しさ」が未来を拓く。
「MES VACANCES」が目指すのは、単なるサステナブルではない。「サステナビューティー」という独自の概念を提唱し、サステナブルであることの「難しさ」や「義務感」という固定観念を打ち破る。まず消費者の心を掴むのは、「可愛い!」「着てみたい!」という純粋なときめきだ。その一枚が、実は環境に優しい素材や製法で作られていたと知ることで、日常が少し誇らしく、豊かになる。この「気づき」こそが、ブランドが最も大切にする価値観である。オーガニックコットン、再生ポリエステル、デッドストック生地などの環境配慮型素材の積極的な採用、そして各アイテムに「エシカルアイコン」を導入し、どのようなエシカル価値に貢献しているかを明示する。これらはすべて、「サステナブルは義務ではなく、自然に続いていく美しさの選択」というメッセージを具現化したものだ。
ファッションの「責任」と「可能性」──循環型社会への提言。
世界のファッション業界は、過剰な生産と廃棄による環境負荷が長年の課題となっている。こうした状況に対し、「MES VACANCES」は、単なるトレンドの提案にとどまらず、ファッションブランドとしての社会的責任を果たすことを強く意識している。製品のライフサイクル全体を見据え、素材の調達から製造工程、そして消費者の手に渡るまで、環境と人に配慮した選択を積み重ねる。お家で手洗い可能な素材、羊に優しいウール、アップサイクルやリサイクルの素材使用、国内縫製、職人の手仕事といった具体的な取り組みは、持続可能なファッションの未来像を示すものだ。ブランドディレクターである柴咲コウを筆頭に、レトロワグラース株式会社が展開する「サステナビューティープロジェクト」は、他企業や自治体との連携を通じて、この「美しく持続可能な」価値観を社会全体に広げようとしている。

消費者が変わる、社会が変わる。「ときめき」が動かす未来。
かつて、環境問題への配慮は「我慢」や「制限」と結びつけられがちだった。しかし、「MES VACANCES」が提案する「サステナビューティー」は、その構図を転換する。消費者が自身の「好き」という感情を起点に商品を選び、その選択が結果として環境保護に繋がる。このポジティブな循環こそが、これからの社会に必要な消費行動のあり方だろう。美しいデザイン、心地よい着用感、そしてその背景にある地球への配慮。これらが一体となることで、消費者は無理なく、そして喜びを感じながら、より良い未来への一歩を踏み出せる。ファッションが単なる「流行」ではなく、「価値観」を創造し、社会を変革する力を持つことを「MES VACANCES」は鮮やかに示している。

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