大丸松坂屋百貨店が展開するファッションサブスクリプションサービス“AnotherADdress”が主催する、ファッションデザインコンテスト『roop Award 2024-2025』の最終審査が、2025年2月15日に国立代々木競技場 第一体育館で開催された。審査員には女優の長谷川京子さんやデザイナー・アーティストの篠原ともえさんらが名を連ね、20名のファイナリストが独自の作品を披露。プロ部門と学生・アマチュア部門の各グランプリが決定した。
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「着ること」の価値を再定義する作品が集結
サステナブルなファッションが求められる現代、衣類のアップサイクルは重要なテーマの一つだ。『roop Award』は、不要になった衣服に新たな命を吹き込み、創造性と環境意識を融合させたデザインを発掘する場として設立された。
今回、グランプリに輝いたのは、プロ部門の播磨マイアさん(ブランド名:Maia Harima)。その作品「second skin」は、妊娠という自身の経験を基に「抱擁されるような着心地」を追求したデザインだ。リサイクルポリエステル製の詰め物「Air Flake」を活用し、柔らかく包み込む感覚を提供する点が高く評価された。
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学生・アマチュア部門では、大阪モード学園の宮川一葉さん(ブランド名:KAZUHA)がグランプリを受賞。その作品「Multifaceted」は、一着の服に複数の着方を取り入れ、着る人が自由にスタイリングを楽しめる点が特徴だ。「服を着ることが発見のプロセスになるように」といった想いが込められている。
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また、準グランプリには、プロ部門でBODYSONG.(ボディソング)の「V.A.」、学生・アマチュア部門でTACKT(タクト)の「アンコール遺跡の光」が選出された。BODYSONG.の作品は、異なるブランドの衣服を解体し、パッチワークで再構成することで、新たなファッションの形を提示。TACKTは、カンボジアのアンコール遺跡群にインスピレーションを得て、光と風を感じる白一色のデザインを打ち出した。
特別賞には、AN YO TAILOR(アンヨーテイラー)の「Pack Age DRESS」と、yui wakabayashi(ユイ ワカバヤシ)の「日常にときめきを纏う服。」が選ばれた。前者は瓶口を絞った際にできるシワを服のデザインに落とし込み、後者は愛着のある服をリメイクすることで、新たな「好き」を生み出すプロセスを表現した。
衣類のリユースやアップサイクルが注目される中、『roop Award 2024-2025』は未来のファッションの可能性を示す場となった。今回の受賞作品がどのように社会へ影響を与えていくのか、今後の展開が期待される。