
★要点
株式会社ジェイ・シー・ティー(本社:埼玉県狭山市、代表取締役:市川忠義)が、木製パレット再生で生まれた木炭を活用した衣類向け調湿材「sumiterra(スミテラ) 衣類の調湿炭」を発売。繰り返し使え、最終的には土壌改良材として再利用できる“循環型プロダクト”として展開する。
★背景
大量生産・大量廃棄型の消費モデルが限界を迎える中、世界では「サーキュラーエコノミー(循環経済)」への転換が加速。素材を一度で終わらせず、多段階で役割を変えながら使い続ける発想が、脱炭素と資源不足の両面で重要性を増している。
「捨てる」は、本当に最後なのか。
物流を支え、役目を終えた木製パレット。その端材が、木炭となり、クローゼットで衣類を守り、最後は土へ還る――。株式会社ジェイ・シー・ティー (以下、jct)が発売したsumiterra(スミテラ)「衣類の調湿炭」は、“一度きりで終わらない素材循環”を暮らしの中へ持ち込んだ。
気候危機、資源高騰、廃棄物問題。大量消費社会の歪みが顕在化する中、いま世界では「何を作るか」だけでなく、「どう循環させるか」が問われ始めている。
木製パレットが“調湿炭”になる――物流の裏側から始まる循環
木製パレットは、物流インフラを支える縁の下の存在だ。しかし、破損や劣化によって大量の木材が発生する。
JCTでは、特定規格の木製パレットを修繕・再利用し、現在は取り扱いパレットの約90%を再利用している。一方、修理時に発生する端材や再利用困難な木材については、木工製品や木炭製品として活用してきた。
「sumiterra 衣類の調湿炭」は、その流れから生まれた。
木炭には、湿気を吸収・放出する吸放湿性がある。本製品は、その特性を活かし、クローゼットや衣装ケース、下駄箱などに置くだけで湿度環境を穏やかに整える。湿気を吸った後も、天日干しによって性能を回復し、繰り返し使用できる。
重要なのは、“使い捨て前提”で製造されていない点だ。
多くの除湿剤は、使用後に廃棄される。一方、sumiterraは、役割を終えた後も土壌改良材として利用可能。暮らしの中で役割を変えながら循環していく。
これは、“廃棄の概念そのもの”を組み替えるエコ商品だと言えるだろう。

サーキュラーエコノミーは“工場の中”だけでは完結しない
近年、世界ではサーキュラーエコノミーへの移行が加速している。
EUでは「循環型製品設計」が政策レベルで進み、日本でも資源循環促進法やGX戦略を背景に、企業の循環設計が求められるようになった。しかし現実には、多くの循環施策が“産業側の論理”で止まりやすい。
回収する。再資源化する。リサイクル率を上げる。
だが本来、循環は生活者の体験に入り込まなければ定着しない。
sumiterraが興味深いのは、物流資材という産業由来の木材を、「衣類保管」という日常行為へ接続した点にある。しかも、天日干しというアナログなメンテナンスを通じて、“手入れしながら使う”感覚を利用者へ取り戻している。
人が素材と関係を持ち続けること。この感覚が、循環社会において重要となる。

木炭は“脱臭剤”だけではない――再評価される自然素材の機能
木炭という素材も、いま再評価が進んでいる。
古くは燃料や土壌改良材として使われてきたが、近年は調湿、断熱、水質浄化、農業利用など、多機能素材として研究が広がっている。特に炭素を長期間固定できる点から、カーボンストック素材としても注目される。
木炭は、化学的に“制御する”素材というより、環境変化を穏やかに調整する素材だ。
湿気を必要以上に奪わず、環境に応じて吸放湿する。自然素材ならではの“過剰に働きすぎない”性質がある。
猛暑や豪雨が常態化し、人間が自然を完全制御できないことが明らかになる中、“自然を抑え込む”のではなく、“自然と付き合う”発想が広がっている。
sumiterraもまた、こうした現代の感覚を持ち合わせた製品だ。
“多段階活用”は広がるか――循環を社会実装する次の課題
JCTは、木資源の「多段階活用」を掲げる。
パレットとして使う。修繕する。
端材を木工製品化する。木炭化する。
最後は土へ還す。
sumiterraは、木材という一つの素材に複数の役割を持たせながら、資源をできるだけ長く循環させる考え方のもと開発されている。
これは、今後の資源利用において重要な視点になるだろう。
日本では、木材利用促進や森林循環への注目が高まる一方、建築廃材や物流廃材の活用はまだ十分とは言えない。循環型社会を本気で目指すなら、「リサイクル率」だけではなく、“どれだけ長く価値を保ったか”が問われるようになるはずだ。
暮らしの中で人々が自然に循環へ参加できる、小さなプロダクト群。
sumiterraは、その入口になり得るだろう。

製品情報
商品名:sumiterra(スミテラ)「衣類の調湿炭」
発売日:2026年4月24日
用途:衣類用調湿材
使用場所:クローゼット、タンス、下駄箱、衣装ケースなど
販売:Amazon
sumiterra「衣類の調湿炭」販売ページ:
https://www.amazon.co.jp/dp/B0GYCDKT8V
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