株式会社ソラコムと株式会社松尾研究所が共同で進めるプロジェクト「IoT x GenAI Lab」が、三菱電機株式会社とともに空調機器制御の実証実験を実施したことが発表された。汎用的な生成AIを利用し、空調機器の最適な設定を行うことで、電気使用量の大幅な削減を達成した。

IoTと生成AIを活用した省エネ技術の可能性を探る

この実証実験は、2023年7月にソラコムと松尾研究所が設立した「IoT x GenAI Lab」により推進されたもの。IoT分野での生成AIの活用を目的とし、空調機器の最適制御によるエネルギー消費の削減を目指している。今回の実験では、三菱電機の協力のもと、オフィス環境での実証が行われた。
実証実験は「部屋を最適な温度に保ちつつ、可能な限り電力消費量を削減する」ことを目的に実施され、以下の手順で進められた。
データ収集:センサーから取得したオフィス内外の環境データと、勤務者から得られた快適性に関するフィードバックを収集
生成AIの活用:事前学習済みの汎用的な生成AIにデータを入力し、最適な温度を予測
空調設定:生成AIで予測された最適温度を基に空調機器の設定温度を変更し、快適性と電力使用量をモニタリング
データのフィードバック:空調設定による環境の変化を再び生成AIに入力し、継続的に最適化

場所:三菱電機株式会社 DXイノベーションセンター(横浜ダイヤビルディング8F)
期間:2024年1月15日~3月8日

従来のAI活用に必要な強化学習や機械学習のプロセスを省略し、生成AIを用いることで、電力消費量と快適性の向上が確認された。具体的には、事前に測定したベースラインと比較して、期間平均47.92%の電力使用量削減と、快適性の平均26.36%向上を実現した。
実証実験の成功を受けて、今後は電力使用量が大きいデータセンターや工場などでの適用を検討。電力使用量のさらなる削減を目指す。また、利用者の好みに合った空間への誘導を行う人に寄り添ったシステムの構築も計画されている。

株式会社ソラコムは、IoTプラットフォーム「SORACOM」を提供し、世界180以上の国と地域でのIoT通信を軸に、アプリケーションやデバイスをワンストップで提供。製造、エネルギー、決済などの産業DXや農業、防災などの取り組みに至るまで、さまざまな業界で利用されている。

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