★ここが重要!

★要点
スムナラとMEMOCOの共同調査で、中古マンション購入経験者の約7割が購入時に何らかの不安を感じていたことが判明。最大の不安要素は「購入後の修繕・メンテナンス費用」(24%)で、次いで「隣人・住環境」(19%)。購入者は、専門家への相談やネットでの情報収集で不安を解消しようと試みている。
★背景
新築マンション価格の高騰と、ライフスタイルの多様化を背景に、中古マンション市場は活況を呈している。しかし、その裏側で消費者は「見えないリスク」への不安を抱えている。単なる物件選びではなく、建物の維持管理状態やコミュニティの質といった「メンテナンス」の視点が、資産価値と居住満足度を左右する重要な判断基準となっている。

中古マンション購入は、宝探しか、それとも地雷原か。スムナラとMEMOCOが実施した購入経験者への調査は、その問いに対するリアルな答えを突きつける。約7割が感じたという不安。その内訳は、未来の修繕費、未知の隣人、そして壁の向こうに隠された劣化への恐怖。新築神話が揺らぐ今、賢い消費者が本当に知るべき、中古マンション選びの新しい羅針盤だ。

最大の不安は「未来のコスト」——修繕・メンテナンス費用という時限爆弾

調査で最も多くの人が不安視したのは、「購入後の修繕やメンテナンス費用」(24%)だった。中古マンションは、新築と違って「いつ、いくらの修繕費が必要になるか」が見えにくい。給排水管の更新や大規模修繕のタイミング、そしてそれに伴う修繕積立金の値上げリスク。これらは、購入時の華やかな内装の向こう側に隠された、将来の家計を直撃する重要なファクターだ。 この不安を解消するために、購入者の16%が「修繕履歴や管理状況を確認した」と回答。長期修繕計画や管理組合の議事録は、そのマンションの“健康診断書”ともいえる。管理状態の良いマンションは、資産価値が維持されやすいだけでなく、将来の予期せぬ出費リスクも低い。

隣人は選べない——コミュニティと住環境という変数

次に多かった不安は、「隣人や住環境の問題」(19%)。どんなに素晴らしい物件でも、隣人との関係が悪ければ快適な暮らしは望めない。中古マンションは、既にコミュニティが形成されているため、騒音トラブルや人間関係への不安を感じる人が多いのは当然だろう。 対策として、内覧時に共用部の清掃状況や掲示板の内容を確認することは、そのマンションの管理意識やコミュニティの雰囲気を知る上で有効だ。また、平日と休日、昼と夜など、異なる時間帯に物件周辺を歩いてみることで、ネットの情報だけでは分からない「生きた住環境」を肌で感じることができる。

プロを味方につける——専門家への相談とホームインスペクション

では、購入者はこれらの不安をどう乗り越えたのか。最も多かった対策は、「不動産仲介会社や専門家に直接相談した」(30%)だった。ネットでの情報収集(18%)も多いが、最終的にはプロの知見を頼る人が多いことが分かる。 一方で、建物の劣化状態を専門家が診断する「ホームインスペクション」を実施した人は、わずか5%に留まった。配管や構造部分といった「見えない場所の劣化」に16%もの人が不安を感じているにも関わらず、その不安を解消するための最も有効な手段が、まだ十分に活用されていない現状が浮き彫りになった。信頼できる不動産会社を見極め、必要に応じてホームインスペスペクションを提案してもらう。それが、未来の安心を買うための、賢明な投資と言えるだろう。

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