NTT東日本とバイオガスプラント開発企業ビオストックは、大阪・関西万博会場で、生ごみを現地再資源化する「超小型バイオガスプラント」を出展している。この装置は、IoTによる遠隔制御機能を備え、都心部や小規模拠点でのバイオガス利活用を現実のものとする。展示はNTTグループのパビリオン内で、会期中を通して行われる。

都市部でも設置可能。小型化と遠隔制御で広がる地域資源循環の可能性。

食品廃棄物の有効活用を巡っては、近年、メタン発酵を活用したバイオガス化の動きが加速している。発電や熱利用を通じて再生可能エネルギーを生み出す手法として注目を集める一方、大規模設備への依存が普及の障壁となってきた。設置に大きな敷地を必要とし、安定稼働のためには大量の原料確保が不可欠であったからだ。
こうした課題の打開を目指し、NTT東日本とビオストックは2022年から共同で小型化技術の実証に取り組んできた。東京都調布市に設けられた実証施設「NTTe-City Labo」で、IoTによる遠隔監視と安定運転の両立に挑戦。今回の出展では、その成果が実用装置として結実する。
今回の展示プラントは、従来の最小モデル(20フィートコンテナ2基)をさらに縮小し、12フィートコンテナ1台で構成。トレーラー1台で搬送可能な可搬型ユニットとして仕上げられた。都市部の狭小地にも対応可能となり、地域内でのオンサイト処理を前提とする資源循環型社会への実装が見えてきた。
機能面でも進化が見られる。これまで少量原料での安定的な発電は難しいとされてきたが、バイオガスにカーボンニュートラルLPGを混合することで、出力の安定性を確保。さらに、クラウド経由での遠隔制御を可能とすることで、現地スタッフの常駐を不要とし、保守コストの低減と納期短縮にもつながるとされる。
バイオガスによる電力は、NTTパビリオンの一部電源として活用される予定で、展示を通じて循環型エネルギー活用の具体像を提示する。運用面ではNTT東日本がデジタル技術を活かした計測分析を担い、ビオストックが装置の提供と遠隔保守を行う。

生ごみ削減とエネルギー自給の両立時代へ。

こうした動きの先にあるのは、地域単位での持続可能なエネルギー自立と、廃棄物の資源化による環境負荷の低減だ。NTTグループが推進するGX(グリーントランスフォーメーション)施策の一環として、自治体や地域事業者との連携も進める考えで、生ごみ削減とエネルギー自給を両立するモデルの全国展開が期待される。
今後も小型バイオガスプラントの技術開発と普及が進めば、都市の中にもエネルギーと資源を自ら循環させる仕組みが根付く可能性が高い。大阪・関西万博での展示は、その実現に向けた重要な一歩となる。

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