エコリンクス株式会社(本社:京都府木津川市)は、アート&テクノロジー・ヴィレッジ京都(ATVK)内に設置された「栄遊館」に、フレキシブル太陽電池を活用したソーラー庭園「光の庭」を完成させた。この取り組みにより、日本庭園の美意識と再生可能エネルギーの技術を融合させ、新たな発電の可能性を探る。
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枯山水と太陽光発電の融合が生む新たな景観
再生可能エネルギーの普及が進む中、太陽光発電技術の発展とともに、その設置方法も多様化している。エコリンクスは、軽量かつ柔軟なフレキシブルソーラーパネルの特性を活かし、日本庭園の枯山水を模したソーラー庭園「光の庭」を構築した。
「光の庭」は、いけばな未生流笹岡家元の笹岡隆甫氏がデザインを手がけ、大阪芸術大学教授の長谷川政弘氏がステンレス製の杜若(かきつばた)のオブジェを制作した。黒色のフレキシブルソーラーパネルを湖面に見立て、その中央にオブジェを配置することで、水面に映る植物の風景を表現している。
この設計には、美観だけでなく機能性も考慮されている。太陽電池の設置工法には、コンクリート基盤に直接接着剤で固定する手法を採用。これにより、耐荷重の問題で従来設置が難しかった場所でも導入が可能になった。また、人工竹のカバーを用いることで、外周のコネクタや電線が景観に影響を与えないよう配慮されている。
「光の庭」は、約9m×8mの敷地に32枚の太陽電池を敷き詰め、総出力11.0kWを誇る発電所として機能する。発電された電力は「栄遊館」で自家消費され、さらに9.8kWhの蓄電池を備えることで、夜間や非常時の電力供給も可能となっている。防災拠点としての役割も果たし、地域のエネルギー自給率向上にも寄与する。
この技術の導入により、太陽光発電の設置可能な範囲が大きく広がることが期待される。エコリンクスは今後も、フレキシブルソーラーパネルの普及を推進し、脱炭素社会の実現に向けた新たな発電・蓄電システムの開発を進めていく考えだ。
持続可能なエネルギーと日本の伝統美が融合する「光の庭」。この試みが、再生可能エネルギーのさらなる普及と社会全体の持続可能性向上へとつながるか、今後の展開が注目される。