★ここが重要!

★要点
大阪府堺市の地域コミュニティ「深井ファン!」が、地域の飲食店6店舗から回収した廃食用油約30リットルをバイオディーゼル燃料に再生し、駅前広場のイルミネーションを点灯させる実証実験に成功。廃棄される油をエネルギーとして再活用し、環境配慮と地域参加型の街づくりを同時に実現した。
★背景
コロナ禍を経て、多くの地域でコミュニティの希薄化や飲食店の経営難が深刻な課題となっている。一方で、脱炭素社会に向けた地域資源の循環活用も急務。このプロジェクトは、飲食店の「廃油」という負の遺産を、街を灯す「希望」へと転換することで、環境・経済・社会という3つの課題に同時にアプローチする、新しい地域創生のモデルだ。

街の灯りは、電力だけで灯るわけではない。大阪府堺市・深井の駅前を彩ったイルミネーションの光。そのエネルギー源は、地域の飲食店で使い終えた、天ぷら油の廃油だった。コロナ禍の沈んだ空気を吹き飛ばしたい。そんな想いから始まった小さな挑戦が、今、地域資源を循環させ、人々の心を繋ぐ、大きな希望の灯火へと変わり始めている。

始まりは「それでも、街を明るくしたい」という想い

このプロジェクトが生まれたきっかけは、コロナ禍。地域のお祭りは中止され、街から人の往来が消えた。「それでも、街を明るくしたい」。その一心で、地域コミュニティ「深井ファン!」の有志が立ち上がり、手探りでイルミネーションを始めた。 しかし、原材料費の高騰や人手不足で、地域の飲食店は疲弊していた。彼らは単なる食事の場ではない。人が集い、文化を育む、地域社会の拠点だ。その飲食店の営みの中から、何か新しい価値を生み出せないか。そうしてたどり着いたのが、日々捨てられる「廃食用油」だった。

30リットルの廃油が、バイオ燃料に変わるまで

地域の飲食店6店舗が、この趣旨に賛同。日々の営業で出た約30リットルの廃食用油を回収した。それを、専門の事業者がバイオディーゼル燃料(B5)へと精製。そして、その燃料で発電機を動かし、イルミネーションの光を灯した。 「廃油→精製→発電→点灯」。30リットルは、数字で見れば小さいかもしれない。しかし、それは地域の飲食店が孤立せず、連帯し、自らの営みの中から新しい価値を生み出した、確かな一歩。廃棄されるはずだったものが、街を彩る希望の光へと姿を変えた瞬間だった。

使用した発電機

深井から中百舌鳥へ、堺発の循環モデル

この小さな灯りは、隣町へと繋がり始めている。近隣の中百舌鳥エリアで進められている循環型イルミネーション活動とも連携。それぞれの地域で生まれた活動を線として繋ぎ、廃油を地域資源として活用する循環モデルを、堺市全体、そして全国へと広げていくことを目指す。 デジタル化が進み、人と人との繋がりが希薄になりがちな現代。イルミネーションの光は、単なる装飾ではない。地域の飲食店、住民、事業者の想いが結集し、街の循環を可視化した、温かいコミュニケーションの灯だ。

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