★ここが重要!

★要点
「奈良漬さろん安部」が、東筑紫学園高等学校の生徒と協働し、奈良漬製造で出る酒粕をアップサイクルしたドレッシングとジェラートを開発。地域連携と食品ロス削減を両立したサステナブルな挑戦を。
★背景
年間約10トンもの酒粕が副産物として出る奈良漬業界において、資源の有効活用と環境負荷低減は喫緊の課題。次世代を担う高校生との協働を通じ、伝統産業の持続可能性と地域活性化に貢献する。

古くから日本の食文化を支えてきた奈良漬。その製造過程で生まれる大量の酒粕は、これまで主に肥料として再利用されてきた。「もったいない」という日本古来の精神は、現代社会のサステナビリティに通じる独自の考え方だ。福岡の老舗「奈良漬さろん安部」は、地元の高校生と共に、この酒粕に新たな命を吹き込んだ。伝統と若者たちのアイデアが融合し、絶品のドレッシングとジェラートとして生まれ変わる。

廃棄される酒粕に秘められた「食」の可能性

奈良漬の製造には、長い熟成期間を経て年間約10トンもの酒粕が使われる。この酒粕には、漬け込まれた野菜の豊かな旨味が溶け込んでいるにも関わらず、これまで食の世界で活用されることはなかった。しかし、奈良漬さろん安部の代表取締役社長、安部勝憲さんは、この副産物に「食材としての可能性」を見出した。
「SALON DE AMBRE 酒粕ドレッシング」と「SALON DE AMBRE 酒粕ジェラート」は、その探求の結晶だ。ドレッシングは添加物を一切使用せず、自然素材のみで酒粕の旨味を凝縮。ジェラートは、酒粕特有のまろやかさとコクが際立つ逸品に仕上がった。伝統的な奈良漬づくりの技術と、現代的なサステナブル発想が融合した、まさに新カテゴリー食品の誕生だ。

高校生のアイデアが伝統に革新をもたらす

この画期的な新商品開発の背景には、福岡県北九州市にある東筑紫学園高等学校 食物文化科3年生の存在がある。同学園のOBである奈良漬さろん安部の社員が、新商品開発に関する授業で、同社が抱える課題を生徒たちに提示。その問いに対して、生徒たちから「奈良漬の酒粕をアップサイクルした新商品」という斬新な発想が生まれたのだ。
地域資源の活用と環境配慮という観点から生まれた高校生のアイデアに、奈良漬さろん安部が共感し、共同開発が始まった。この取り組みは、生徒たちに将来への視野拡大、地域資源への理解、そして環境意識の醸成というかけがえのない経験を与えた。次世代を担う若者の柔軟な発想と、老舗が培ってきた技術と経験が結びつき、伝統産業に新たな息吹を吹き込んだ。

「もったいない」を「おいしい」に変える地域連携モデル

このプロジェクトは、地域社会全体で資源を循環させ、持続可能な社会を築くための新たなモデルを提示している。廃棄されるはずだった酒粕に価値を見出し、若者の教育と結びつけることで、産業と教育、地域が一体となる。
発売を記念し、小倉井筒屋本館8階の「京築のグルメと特産品フェア」で、11月27日から12月3日まで商品の販売が行われる。11月28日と12月1日には、共同開発に携わった東筑紫学園高等学校の生徒たちが販売に参加する。自らのアイデアが形になり、消費者の手に渡る瞬間を体験することは、彼らにとってさらに新たな学びの場になるだろう。

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