東急不動産株式会社は、株式会社東急不動産R&Dセンター、国立大学法人電気通信大学と共同で、ニセコにおける環境負荷低減を目的とした「雪発電」の実証実験を開始した。この取り組みは、「Value up NISEKO 2030」プロジェクトの一環として進められ、2025年1月から2月にかけて北海道倶知安町で実施された。

積雪を活用した新たな発電技術、地域課題解決への期待
雪発電は、スターリングエンジンを利用した温度差発電技術を活用し、高温熱源と低温熱源の温度差を利用して電力を生み出す仕組みだ。高温熱源には太陽熱やバイオマス熱を使用し、低温熱源には雪で冷却された不凍液を活用する。この循環プロセスにより、発電と融雪を同時に実現する。
今回の実証実験では、昨年度の1.0kW発電能力から7.0kWへと大幅に向上させ、1日最大168kWhの発電が可能となる。これは、一般家庭約12軒分の1日あたりの平均消費電力に相当する。また、新たに建屋の屋根に積もった雪を融雪し、その融雪水を集水・ろ過するシステムを導入。これにより、屋根の雪下ろし作業を軽減するとともに、得られた融雪水を有効活用し、地域の水資源確保に貢献する可能性を探る。
ニセコは豪雪地帯でありながら、冬季の再生可能エネルギー利用が難しい地域とされてきた。本技術の実用化が進めば、冬季のエネルギー供給の安定化と環境負荷の低減に寄与することが期待される。さらに、雪を活用したエネルギーシステムは、全国の豪雪地域にも応用可能であり、地域特性を生かした持続可能なエネルギーモデルの確立に向けた第一歩となる。
本実証実験は、倶知安町との包括連携協定のもとで進められる「サステナブルリゾート形成」の一環として実施されており、東急不動産は今後も地域と協力しながら、持続可能なリゾート開発を推進していく方針だ。