大和ハウス工業株式会社(本社:大阪市、社長:芳井敬一、以下「大和ハウス工業」)とキヤノンマーケティングジャパン株式会社(本社:東京都港区、社長:足立正親、以下「キヤノンMJ」)は、トラックドライバーの荷待ち・荷役時間を可視化し改善を支援する新システムを共同開発。2024年11月1日から、神奈川県平塚市にある物流施設「DPL平塚」で実証実験を開始する。これにより、物流業界が直面している「2024年問題」に対応し、効率化を図る。

物流業界の課題解決に向けた一歩

物流業界における「2024年問題」とは、働き方改革に伴うトラックドライバーの労働時間短縮に起因する人手不足や物流コストの増大問題を指す。これに対して、政府は荷主事業者に対し、ドライバーの荷待ち・荷役時間を短縮するよう求めるガイドラインを提示している。特に2時間以内の荷役完了を目指す方針が示されており、業界全体で効率的な物流運営が急務となっている。
キヤノンMJと大和ハウス工業が開発したこのシステムは、物流施設でのトラックの動きを映像とAIで自動分析する技術を採用。物流施設に到着したトラックが施設内に入場し、バースと呼ばれる荷役場所に移動、荷役作業を終えて退場するまでの全行程をカメラで記録するというもの。ドライバーの動きや作業時間をAIが解析し、荷待ちや荷役にかかる時間を可視化する。
このシステムの導入により、荷主や物流施設の管理者はトラックの動きや作業効率を把握しやすくなり、ドライバーの負担軽減と業務の効率化が期待される。また、トラックの入場予約システムやオンラインチェックインと組み合わせることで、物流施設全体の稼働状況を最適化し、無駄な時間を削減する取り組みも進められている。
今回の実証実験は2025年4月以降、全国の大和ハウス工業が運営する物流施設「DPL」への本格導入を目指している。大和ハウス工業は、これまでも物流施設の効率化に取り組んでおり、トラックの入場予約システムの導入などで先行して対応を進めてきた。今回のシステム導入により、物流施設が単なる物の保管場所から、効率的な物流業務の拠点として機能することが期待されている。
このシステムが実現すれば、物流業界全体における効率化の波及効果も期待される。トラックドライバーの労働環境が改善され、荷待ち時間の短縮が図られることで、人手不足の緩和や運送コストの削減につながる可能性がある。

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