アマゾン ウェブ サービス(AWS)は、日本国内に新設するデータセンターの建設において、エンボディドカーボンが従来型コンクリート比で64%少ない低炭素型コンクリートの採用を開始した。この取り組みは、AWSが2027年までに実施する2兆2,600億円の日本への投資計画の一環で、持続可能なクラウドインフラの実現に向けた重要なステップとなる。
クラウドインフラ拡充とともに進む脱炭素化の取り組み
AWSは、クラウドとAIサービスの需要拡大に対応するため、日本国内でデータセンターの新設を進めている。その中で、環境負荷の低減を目指し、従来のコンクリートに代わる低炭素型コンクリートの使用を開始した。具体的には、建設における温室効果ガス排出量を削減するため、セメントの一部を高炉スラグで置き換えたECMコンクリートや、炭素を貯留するバイオ炭を混入したコンクリートなどを採用している。
AWS東京リージョンのデータセンターでは、竹中工務店と協力し、耐震性を強化した基礎部分にECMコンクリートを使用。このコンクリートは、セメントの60%〜70%を高炉スラグに置き換えることで、コンクリート由来の温室効果ガス排出量を大幅に削減する効果がある。また、清水建設と協力したデータセンターでは、バイオ炭を混入したコンクリートを非構造体部分に使用し、樹木が大気中から吸収した炭素を長期的に固定化している。
さらに、大林組と共同でクリーンクリートと呼ばれる革新的な低炭素型コンクリートも導入。これは、通常のコンクリートと比較して体積炭素量を約70%削減できるもので、補強鉄材の腐食リスクを抑える工夫も施されている。
AWSは、2040年までにネット・ゼロ・カーボン達成を目指す「The Climate Pledge」の目標に向け、クラウドインフラのエネルギー効率向上や再生可能エネルギー投資も積極的に進めている。2027年までの日本への投資は、国内GDPに5兆5,700億円の貢献が見込まれ、年間平均30,500人以上の雇用創出にも寄与する。
今後、AWSは日本国内でのデータセンター拡充とともに、環境負荷のさらなる低減を目指し、サプライチェーン全体と連携した持続可能な建設技術の開発と普及を推進していく。