特定非営利活動法人アーツイニシアティヴトウキョウ(AIT)が運営するArt Climate Collective Japan(ACCJ)は、気候変動への具体的な取り組みとして「Green Circle」ネットワークの発足、美術梱包マニュアルの日本語訳版の公開、カーボンフットプリント計算ツールのリニューアルという3つの施策を発表した。AITは国際的非営利団体Gallery Climate Coalition(GCC)のアクティブ・メンバーとして、3年連続の認定を受けており、アートと環境を結ぶ取り組みの先頭に立っている。

アートと気候行動の連携を強化する、日本発の新たなネットワークと実践ツール。
気候危機への対応はあらゆる分野で喫緊の課題。アートの現場も例外ではない。そんな中、AITは国際的な環境アクション団体GCCの活動理念に基づき、国内外のアートセクターにおける温室効果ガス排出量削減やゼロウェイスト推進に向けた行動を呼びかけてきた。
今回ACCJが新たに発足させた「Green Circle」は、アートと環境の交差点で知識や実践を共有するネットワークだ。東京大学の江守正多教授や森美術館の片岡真実館長など多様な専門家と実践者がこの活動に参加し、最新の気候科学や美術館の動向を含む幅広い知見が集結している。
この気候アクションでは、美術梱包の分野でも環境負荷の軽減に向けた具体的なガイドラインを提供している。具体的にはGCC発行の「ギャラリーとアートセクターのための梱包マニュアル」の日本語版をACCJが公開。廃棄物削減のための5R(Refuse, Reuse, Reduce, Repurpose, Recycle)など、実践的な内容を盛り込んでいる。
さらに、アート関連活動によるカーボンフットプリントを可視化するGCCカーボン計算機のリニューアル版も公開された。ここでは展示、作品輸送、イベント、出張など多岐にわたる排出要因を精緻に把握できるよう改良されており、アート関係者が自らの活動の環境負荷を評価し、改善策を検討するための有効な手段になるだろう。
AITは2001年の設立以来、アートと社会課題を結びつける活動を展開してきた。2021年からGCCに加盟し、ACCJの立ち上げを経て、日本のアートシーンにおける気候行動の意識向上と実践のプラットフォームを提供している。

