宿泊予約サイトのブッキング・ドットコムは、2024年版「サステナブル・トラベル」に関する調査結果を発表した。この調査は、世界34の国と地域にわたる31,000名以上の旅行者を対象に実施された。
サステナブル・トラベルへの関心の高まり
調査によると、世界の旅行者の75%(日本の旅行者:53%)が「今後12ヶ月間に、よりサステナブルな旅行をしたい」と回答した。これは、多くの旅行者がサステナブルな旅行への関心を高めていることを示している。回答者の多くは、サステナブルな旅行を選択する理由として、「そうすることが正しいと感じるから」(世界の旅行者:32%、日本の旅行者:21%)や、「サステナブルでない旅行を選択することに罪悪感を感じる」(世界の旅行者:43%、日本の旅行者:21%)と述べている。
旅行中にサステナブルな取り組みを体験することで、日常生活においてもサステナブルな生活を意識するようになる旅行者が増えている。世界の旅行者の67%(日本の旅行者:42%)が「旅行中にサステナブルな取り組みを体験することで、日常生活でも、よりサステナブルな生活を意識しようと思う」と回答している。
具体的な体験としては、「本場の文化を体験するツアーやアクティビティに出かけた」旅行者の96%(日本の旅行者:87%)、「小規模な個人商店で買い物をした」旅行者の93%(日本の旅行者:89%)、「徒歩、自転車、公共交通機関での移動を計画した」旅行者の93%(日本の旅行者:87%)が、「日常生活でも、よりサステナブルな生活を意識しようと思う」と回答している。
一方で、サステナブルな旅行に対する失望感が旅行者のモチベーションを低下させている可能性もある。調査によると、旅行者の一部は、環境への影響に配慮することの重要性を認識していない。世界の旅行者の3人に1人(33%、日本の旅行者:29%)は、自分たちが環境に与える影響について「すでに生じたダメージは回復不可能で、旅行者の選択によって状況が変化することはない」と感じている。また、4人に1人(25%、日本の旅行者:21%)は「世間で言われているほど、気候変動は深刻ではない」と考えている。さらに、「旅行に費やす時間は貴重であり、サステナビリティを意思決定時に考慮する項目のトップに据えることはできない」と感じている旅行者も存在する(世界の旅行者:28%、日本の旅行者:32%)。サステナビリティへの取り組みが実践されていない旅行先では、よりサステナブルに過ごすことが難しいと感じる旅行者も多い。
旅行による悪影響の低減に取り組むうえで、旅行者自身の役割に加え、政府や旅行サービス業者の役割も重要視されている。世界の旅行者の44%(日本の旅行者:32%)は「経済への影響に対処することができる可能性が最も高いのは政府である」と考えており、43%(日本の旅行者:32%)は「旅行サービス業者が、環境要因への対応のカギを握っている」と回答している。さらに、40%(日本の旅行者:38%)は「旅行や観光がもたらす影響について人々を啓蒙する責任は、政府にある」と述べている。ブッキング・ドットコムのサステナビリティ部門統括責任者であるダニエル・ディシルバ氏は、「多くの旅行者が前向きな気持ちと、よりポジティブな影響を与えたいという願望を持ち続けている一方で、業界にとってはサステナブルな選択を誰もが簡単にできるようにする努力を加速させることが重要」と述べている。
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