特定非営利活動法人イシュープラスデザイン(東京都文京区、代表:筧裕介)は、世界35カ国・400地域で実績のある「気候市民会議」を日本版に再設計し、地域の脱炭素政策を市民と共創する「日本版気候市民会議」の提供を開始した。全国1,788自治体への展開を目標に、今年度は千葉県柏市、神奈川県鎌倉市、愛媛県今治市での開催が決定。自治体・地域団体との協働開催に加え、ファシリテーター資格を通じた地域主導モデルも用意し、参加型の政策づくりを全国へ広げる。

世代横断の50人が“1日限定市長”に。2030年をゲームで体験し、行政と共に政策へ。
気候危機が生活の現実となる一方、日本では政策形成における市民参加が限定的で、温暖化対策も国際潮流に遅れが生じている。こうした状況を変える鍵として注目されるのが、市民が当事者として対話し、エビデンスに基づく提案を行政へ届ける「気候市民会議」だ。イシュープラスデザインは欧州で成果を上げてきた枠組みを日本の地域文脈に合わせて再設計し、誰もが参加しやすく、政策実装に接続する国内モデルを整えた。
日本版の特徴は三つある。第一に、年齢や立場を越えた約50人が“1日限定の市長”として地域の未来を描く設計だ。若者や子育て世代、農家や商店主、企業人、議員、自治体職員まで多様な当事者を同じテーブルに招き、意思決定の視点を共有する。第二に、2030年の地域をシミュレーションするRPG型プログラム「脱炭素まちづくりPLAY」を用い、農業やエネルギー、廃棄物、行政などの役割を担いながら温室効果ガス半減に挑む。遠い課題に見えがちな気候変動を、自分ごととして体感的に学べるのが強みだ。第三に、市民・議員・職員が同じ場で基礎レクチャーを受け、地域の排出構造を理解したうえで政策を共創し、行政に提案するプロセスまで設計されている点である。それらによって単なる意見表明にとどまらず、実装可能性の高い提案へと磨き上げる。
本会議のプログラムは、ゲーム(120分)での未来体験、レクチャー(60分)での知識基盤の共有、ダイアログ(120分)による政策討議の三部構成。今年度の開催地域としては、若者を中心に「地産地消のまちづくり」をテーマに議論する千葉県柏市(2025年9月21日(日))、海と経済の共存を見据える神奈川県鎌倉市(2025年10~11月開催予定)、脱炭素と産業振興の両立に挑む愛媛県今治市(2026年1~3月開催予定)が予定されている。各地で生まれる提案は、地域の気候政策や将来ビジョンの具体化に資するものとして期待が高まる。



また会議の自治体への導入方法は二つのモデルが用意されている。イシュープラスデザインと協働する共催型では、集客や会場手配を地域と連携しながら、当日の運営を同法人のファシリテーターが担い、初開催でも安心して臨める。もう一つは、ファシリテーター資格を取得して地域が独自に実施する主導型で、ツールキットや運営スライド、ワークシートなど一式が提供されるため、継続的な開催が可能だ。全国展開に向けては、自治体のゼロカーボン宣言や温暖化対策計画の策定・更新、学校や企業との連携による次世代教育・脱炭素経営など、多様な現場での活用が見込まれる。
会議の提供開始に合わせ、オンライン説明会も実施される。日時は2025年9月30日(火)19:00~20:30、参加無料(事前申込制)。当日は日本版の概要や導入の流れ、今年度の開催事例の紹介に加え、現場で脱炭素を推進する自治体職員をゲストに迎え、実務の課題や工夫を共有する。申込はPeatix(https://nihonbankikoshiminkaigi0930.peatix.com)で受け付けている。
イシュープラスデザインは「地球の課題に、市民の創造力と政治の実行力を。」を掲げ、地域から未来を変える挑戦を本格化させる。1,788自治体への展開を視野に、参加・共創型の政策形成が社会の標準となれば、2030年に向けた温室効果ガス削減と、持続可能な地域づくりは確かな推進力を得るだろう。
