株式会社クロス・マーケティングが実施した調査によると、日本の食料自給率に対する国民の不安が8割を超えたことが明らかになった。特に、気候変動による自然災害や農作物の品質低下への懸念が強まり、昨年よりも食料危機への意識が高まっていることがわかった。
気候変動がもたらす不安の高まり
調査は、全国の20歳から79歳の男女2,400人を対象に行われ、気候変動に関する不安感やその影響について詳しく分析された。その結果、74%の回答者が現在の気候変動に不安を感じていることが明らかになった。また、今後5年先では35%、10年先では41%がさらに不安を感じると予測している。特に、地球温暖化や異常気象が引き起こす自然災害への懸念が強まっている。
今回の調査では、食料自給率に対する国民の不安も浮き彫りとなった。日本の食料自給率は38%と低く、先進国の中でも最低水準にある。回答者のうち44%が「非常に不安に思う」と答え、38%が「やや不安に思う」と答えており、合わせて82%が食料自給率に対して強い懸念を抱いていることがわかった。
この背景には、昨年の猛暑による野菜の価格高騰や、全国的な米不足が影響していると考えられる。実際、昨年から今年にかけて「食料自給率に対する不安」は7ポイント増加しており、特に気候変動が引き起こす農業への影響が懸念されている。
気候変動が農業に与える影響についても、多くの回答者が不安を感じており、「農作物の品質低下や不作」に対して52%が不安を抱いていることが明らかになった。昨今の異常気象による作物の品質劣化や収穫量の減少が、その背景にあると考えられる。
また、気候変動が日本の四季に与える影響についても深刻な懸念が示された。48%の回答者が「日本の四季がなくなること」に対して不安を抱いており、これは昨年よりも高い割合となっている。四季の変化が農業や観光業に与える影響は計り知れないものがあり、今後の気候対策が急務であることが示唆される。
気候変動による自然災害への懸念も強まっている。調査によると、63%が「大雨やゲリラ豪雨が増えること」を不安に感じており、次いで「台風が増える」と答えたのは53%だった。これらの自然災害は、直接的に農業やインフラに影響を与えるため、食料供給への影響も無視できないものとなっている。
この調査結果は、日本の食料自給率が低下し続ける中で、気候変動がもたらすリスクが現実的なものとなっていることを示している。特に、気候変動による農作物の不作や品質低下、自然災害の頻発によって、食料供給の安定性が危ぶまれている。これに対して、政府や企業がどのように対策を講じていくかが今後の課題となる。
気候変動に関する調査(2024年)