大和ハウス工業は、同社九州工場(福岡県鞍手町)の敷地内に、大規模な系統用蓄電所「DREAM Storage Battery 福岡鞍手」を建設し、蓄電池ビジネスへ本格参入した。これは、再生可能エネルギーの普及に伴う電力需給の不安定化という社会課題に対応するもので、発電、売電に続く新たなエネルギーソリューションとして電力の安定供給への貢献を目指す。

なぜ今、蓄電所なのか?再エネ普及がもたらす課題。

2050年のカーボンニュートラル実現に向け、太陽光や風力といった再生可能エネルギーの導入が加速している。しかし、これらのエネルギーは天候によって発電量が大きく変動するため、電力需要の少ない時間帯に「余剰電力」が発生する課題があった。電力の需給バランスを保つ調整役として、電気を貯めておける大規模蓄電池の重要性が急速に高まっている。その高まりを裏付けるように、国内の系統用蓄電所の市場規模は、過去10年で約83倍にまで拡大した。

一般家庭950世帯分を貯蔵、九州の電力網を安定化。

この社会的な要請に応えるため、大和ハウス工業は九州工場のテニスコート跡地に、同社初となる蓄電所を建設する。パワーエックス社製のコンテナ型蓄電池4台を設置し、出力1.9MW、蓄電容量9.8MWhという規模を実現した。これは、一般家庭約950世帯が1日に使用する電力量に相当する。2026年7月の稼働後は、九州エリアの電力系統に接続し、電力需給の安定化を図る。

発電・売電から蓄電へ、総合エネルギー企業としての次の一手。

大和ハウス工業は、これまでも発電所の設計・施工(EPC)や発電事業(IPP)、電力小売事業(PPS)などを手掛けてきた。今回、新たに蓄電池ビジネスに参入することで、電気を「つくる」「うる」だけでなく「ためる」機能も手に入れる。これは、同社が総合的なエネルギーソリューションを提供する企業へと進化する上で重要な一歩となる。なお、本事業は経済産業省の補助金採択も受けており、国策として推進される脱炭素社会の実現に貢献していく。

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