

★要点
大阪・関西万博の熱を、街で続ける二つの場が立ち上がる。10月17–18日の国際交流マルシェ「世界横丁」(会場:靱公園)と、10月24–25日の技術展示「リボーンチャレンジ・ショーケース in グラングリーン大阪」(会場:うめきた公園ノースパーク/JAM BASE)。“パビリオンの続き”を市街地で体験し、万博出展技術の再会と社会実装を加速する。
★背景
巨大イベントは閉幕と同時に記憶の彼方へ行きがちだ。だが、文化と食を媒介に“心の距離”を縮め、場外展示で“理解コスト”を下げることができれば、万博のレガシーは消耗品ではなく地域の資産へと更新される。合意形成もビジネスも、次の一歩は街の手触りから始まる。
万博の“あとさき”をどうつなぐか。答えは巨大な会場にはない。並木のある公園、歩いて行ける都心の広場——そこで人は再び出会い、技術は“等身大”に戻る。靱公園で世界の屋台が肩を並べ、うめきた公園では出展企業のプロトタイプが手に触れる距離まで降りてくる。文化と産業、体験と商談。大阪の10月は、万博を街の言葉に翻訳する月になる。
街のパビリオン「世界横丁」は“国と人”をもう一度近づける。
10月17日(金)夕刻と18日(土)終日、靱公園で国際交流型マルシェ「世界横丁」が開催される。食・雑貨・音楽が交わり、万博で得た縁が“街のパビリオン”として再編成される。ルクセンブルク館の物品提供を含む“万博蚤の市”、イエメン、ウガンダ、キルギス、ノルウェー、フランスなど多彩な出店者。予約制の食体験「SEKAI KITCHEN」では、中東や中央アジアの料理を大阪の料理人が仕立てる。入場は無料(キャッシュレス決済限定)。会場は本町駅至近の靱公園東側だ。
“見て、触れて、語る”場外ショーケースで技術が二度目の出会いを迎える。
翌週の10月24日(金)・25日(土)は、グラングリーン大阪のうめきた公園ノースパークとJAM BASEに、万博出展の技術・製品が再集結する。プラスチック0%の“自然に還る歯ブラシ”、軟骨伝導を使ったウェアラブル、新合成繊維など中小企業を含む全30社が展示。24日には出展者との「ビジネスデイ」(要予約)、25日には来場者参加型の「ガチャ×シールラリー」も用意され、技術理解と交流を一挙に進める設計だ。いずれも入場無料。
レガシーの条件「文化の共感×技術の納得」
アフターEXPOの肝は、心の窓口と技術の窓口を同時に開けることだ。世界横丁は“美味しい”を入口に他国の文脈に触れる機会をつくる。一方、場外ショーケースは“触れる・確かめる・交渉する”の短い動線で、理解コストを下げる。食は偏見をほどき、実機は誤解をほどく。二週連続の編成は、共感と納得をひとつの月に収める編集である。
公園が“翻訳装置”になる——都心のオープンスペースが担う役割。
靱公園とうめきた公園は、いずれもビジネス街に隣接する都市の余白だ。アクセスの良さは来訪者の多様性を担保し、芝生やテラスは展示の心理的ハードルを下げる。グラングリーン大阪では、海洋プラごみをアップサイクルした遊具展示など、環境テーマのインスタレーションも重ねてきた。オープンスペースは“公共性×体験”の翻訳装置。万博の理念が地面に降りる場所になる。
“続編”を自走させる。サーキュラービジネスと中小企業の伸びしろ。
展示で終わらせない仕組みが重要だ。再生素材の採用、回収・回送の仕組み、機能を売るPaaSへの転換。サーキュラーの要点は中小企業の競争力に直結する。場外ショーケースは、製品単体では見えにくい運用・回収・保守のストーリーを提示する場にもなり得る。大阪・関西万博をきっかけに、循環と収益を“同じ数式”に載せる企業が増えるかどうか。10月の大阪は、その試金石になるだろう。
【イベント情報】
■世界横丁
日時:2025年10月17日(金)17:00–20:00/18日(土)10:00–20:00
会場:靱公園(大阪市西区・東側)
料金:入場無料・予約不要(一部プログラムは予約・有料)
https://demoexpo.jp/sekaiyokocho/
■リボーンチャレンジ・ショーケース in グラングリーン大阪(万博場外展示)
日時:2025年10月24日(金)13:00–16:00、25日(土)10:00–18:00
会場:うめきた公園ノースパーク MULTI SPACE/JAM BASE 3F Blooming Camp
料金:入場無料(24日は要予約のビジネスデイあり)
https://www.m-osaka.com/jp/whatsnew/detail/005881.html
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