日立造船株式会社が国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金事業において、浮体式洋上風力発電のセミサブ型基礎製造における量産化コンセプトおよび水上接合工法を開発した。この技術により、浮体式基礎の製造能力が飛躍的に向上し、大型洋上ウィンドファームの普及が期待される。

日本でもいよいよ大型洋上ウィンドファームの普及促進へ

日立造船株式会社(大阪市住之江区)と鹿島建設株式会社が共同でNEDOの「洋上風力発電の低コスト化プロジェクト」に参画し、セミサブ型浮体式基礎の量産化と低コスト化を目指した技術開発に取り組んできた。現状では、15MW級の風車を搭載する浮体式基礎の製造施設が限られており、製造期間の短縮が課題となっている。
コンソーシアムは、浮体式基礎の分割ブロックを造船・鉄構メーカーなどのサプライチェーン先で製造し、堺工場へ曳航輸送後に接合して大組立するというコンセプトを採用。これにより、年間4基程度だった製造能力を、年間20基程度に増加させることが可能となった。
水上接合工法では、造船ドックに水を張った状態で分割ブロックを受け入れ、水上で仮接合を行う。その後、排水して溶接を実施。従来の接合法では重量や大きさから位置決めに時間を要したが、浮力を活用することで短時間での位置決めが可能となった。この技術により、大組立工程の短縮が実現。
堺工場で実施された実証試験では、15MW級風車搭載を想定した実寸サイズの分割ブロックを製造し、ブロック接合の試験を行った。試験の結果、本工法が技術的に実現可能であり、大組立工程を1割以上短縮できることが確認された。この工法は工場での量産化だけでなく、現地組立にも有効とされる。
日立造船は、NEDOの「グリーンイノベーション基金事業/洋上風力発電の低コスト化プロジェクト」において、愛知県沖での浮体式洋上風力実証事業にも参画予定。このプロジェクトでも、セミサブ型浮体式基礎の量産化と低コスト化に向けた取り組みを継続する。
今回の技術開発により、浮体式基礎の量産化が現実味を帯び、大型洋上ウィンドファームの普及が進むと見られる。日立造船は、浮体式洋上風力発電の普及を支える技術として、今後も積極的に取り組みを進める方針だ。


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