IHIと株式会社IHI原動機が開発したアンモニアを燃料とするエンジンが、スイス・チューリッヒで開催された「CIMAC Congress 2025」でCIMAC会長賞を受賞した。この受賞は、日本の企業や学術機関による初の快挙で、エンジン業界における革新的な成果だと評価されている。

アンモニア燃料エンジンがもたらす、温室効果ガス削減の大きな可能性。

地球温暖化対策が急務となる中、重油からカーボンフリー燃料への転換が求められている。特にCO2を排出しないアンモニアは、有力な代替燃料として注目を集めている。しかしこれまでその燃焼性の低さから、技術的課題が存在していた。
IHIとIHI原動機は、2020年度からこの課題に取り組み、4ストロークレシプロエンジンでのアンモニア燃料使用に向けた基礎試験を開始。RCEM(急速圧縮膨張装置)を用いて着火条件を調査し、単気筒試験機で連続燃焼条件を確立した。
2021年度からは、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)のグリーンイノベーション基金事業の一環として、アンモニア燃料実証船用エンジンの開発を進め、2023年には陸上運転試験を開始した。その結果、2024年に商用利用を前提とした世界初のアンモニア燃料タグボート「魁」が就航。GHG(地球温暖化ガス)削減率は90%以上、最大で約95%を達成し、排気中のアンモニアやN2O(亜酸化窒素)濃度もほぼゼロに抑えられた。
IHIグループは燃料アンモニアの利活用モデルの普及に向け、さらなる技術革新を推進しており、高品質なインフラ提供を通じて、グローバルな環境負荷の低減に貢献することを目指している。今回の受賞は、そんな同社の活動に対する高い評価であるとともに、これらの取り組みはカーボンフリー燃料の早期社会実装を促進し、持続可能な未来を実現する重要な選択肢として位置付けられるだろう。

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