環境省が支援する「脱炭素化支援機構(JICN)」は、国の財政投融資と民間資本を原資に、脱炭素化に寄与する多様な事業への投融資を行う株式会社で、2022年10月に設立された。2050年カーボンニュートラル実現に向けて活動を続ける。

2050年カーボンニュートラル実現に向けて

脱炭素化支援機構(JICN)は、地球温暖化対策推進法に基づき、2022年10月28日に環境大臣の認可のもと設立された。設立の背景には、日本政府が掲げる2050年カーボンニュートラル実現の目標がある。国の財政投融資と民間からの出資を原資に、脱炭素化に資する事業への投融資を行うことを目的としている。
現在、JICNの資本金は289億円に達しており、その内訳は国の産業投資(財政投融資)180.5億円、民間からの出資108.5億円だ。国は今後も継続的に出資を行い、必要に応じて2024年度末までに250億円までの追加出資の余地がある。
JICNは、脱炭素化に資する多種多様な事業に対し、出資・優先株・劣後ローンなどのファイナンスを提供する。これにより、間接的な排出削減や中長期的なトランジションに向けた資金供給を行う。具体的には、以下の分野への資金供給を行っている。

  1. 再生可能エネルギー発電: 地域の再エネ発電、洋上風力などの大型再エネ発電プロジェクト。
  2. 燃料製造: バイオマス燃料やその他の代替燃料の製造。
  3. 蓄エネ省エネ: 蓄電池の製造やエネルギー効率向上のための技術開発。
  4. 設備機器や素材の製造: 低環境負荷の製造プロセスや高付加価値バイオ素材の生成。
  5. 農業: 有機農産物の生産・販売や新規就農者への支援。
  6. 建設・不動産: 省エネ改修やリノベーションプロジェクト。
  7. DX/GHG可視化: 温室効果ガス排出量算定・可視化ソリューションの提供。

また、海外で行われる事業でも、日本の社会経済への裨益があれば支援対象となる。

2024年6月14日現在、JICNは19社20件の投融資案件を公表している。その中には、再生可能エネルギー発電や蓄電池製造、バイオマス燃料製造など多岐にわたるプロジェクトが含まれる。主な投融資案件は以下のとおり。

  • バイオマス燃料製造: National Carbon Technologies-California, LLCのブラックペレット製造・販売事業。
  • 再生可能エネルギー発電: 株式会社コベックのバイオガス化事業、クリーンエナジーコネクトの太陽光発電事業、ふるさと熱電株式会社の地熱発電事業。
  • 蓄電池製造: 株式会社パワーエックスの大型蓄電池製造、エクセルギー・パワー・システムズ株式会社のバックアップサービス。
  • ものづくり製造: エレファンテック株式会社の低環境負荷プリント基板の製造、WOTA株式会社の小規模分散型水循環システムの開発。
  • 農業: 株式会社坂ノ途中の有機農産物販売プラットフォーム、Oishii Farm Corporationのイチゴ生産・販売。
  • 建設・不動産: リノベる株式会社のリノベーション・省エネ改修プラットフォーム運営。
  • DX/GHG可視化: 株式会社ゼロボードの温室効果ガス排出量算定・可視化ソリューション提供。

資本金の構成は、国の財政投融資180.5億円、民間85社からの出資108.5億円となっている。民間株主には、日本政策投資銀行や三菱UFJ銀行、三井住友銀行などの金融機関、JFEエンジニアリングやクボタ、日立造船などの事業会社が含まれる。

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