住友林業株式会社と中央日本土地建物株式会社は、米国の大手デベロッパーFairfield Residential Holdingsと協力し、ボストン近郊に純木造の賃貸用集合住宅を開発することを発表した。同社のプロジェクトは、日本を越え、木造建築の普及を通じた脱炭素化への貢献を加速させている。

木造建築の魅力と環境への貢献

住友林業と中央日本土地建物、Fairfield社によるこの共同プロジェクトは、総戸数260戸の4階建てと5階建ての建物を含む純木造集合住宅を開発するもの。2025年1月に着工し、2026年10月から賃貸を開始する予定だ。本プロジェクトは、木材の特性を活かし、建設に伴うCO2排出を抑制することを目指している。
プロジェクトでは木造枠組壁工法が採用され、鉄筋コンクリート構造に比べて低コストで建築される。また木造建築の場合、木材が内部に炭素を長期間固定するため、建築で生じるCO2「エンボディドカーボン」の排出を削減して環境配慮を実現。さらに、共用部分にはコワーキングスペースやプールを設け、住む人々に快適な生活環境を提供する。
この建物は、自然環境と都市生活の利便性を兼ね備えたエリアに位置し、豊かな緑と静かな住宅環境が魅力だ。近隣には自転車道や広大なマウンテンバイクパークもあり、アウトドア活動を楽しむことができる。近年、バイオテクノロジーや医療関連の企業の集積が進んでいるボストン中心部や、周辺の雇用地へのアクセスも良好で、通勤や生活に便利な立地だ。プロジェクトの開発主体は、住友林業の100%子会社SFA MF Holdings、中央日本土地建物の100%子会社Chuo-Nittochi I LLCが組成したJVとFairfield社が共同出資する特別目的会社(SPC)。
住友林業は、2030年までの長期ビジョン「Mission TREEING 2030」を掲げており、木を中心とした事業の展開を通じて、森林のCO2吸収量を増やし、木造建築の普及を促進する「ウッドサイクル」を推進している。
また中央日本土地建物も、初のボストン近郊での開発参画を通じて、海外事業の強化を図る。2050年までに持続可能な社会の構築を目指し、両社は今後も木造建築の普及と環境負荷の低減に貢献する技術の開発に取り組む予定だ。
本プロジェクトが提案するのは、木材を最大限に活かした建築技術と、環境への配慮を統合する新しい都市開発モデルといえる。世界各地での木造建築プロジェクトを進めていくことで、このプロジェクトは、今後も持続可能な未来に向けた新たな鍵となる可能性がある。

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