
★要点
サステナビリティを「話す機会が増えた」と感じる人が8割超。2026年に注目したい分野は「ごみ問題」「気候変動」「食品ロス」が上位に並んだ——暮らし目線の“切実さ”が、関心の重心をつくっている。
★背景
気候危機はすでに現在進行形で、IPCCも「人間活動が温暖化を引き起こしたことは疑う余地がない」と整理する。さらに食品廃棄は世界規模で積み上がり、プラスチックを巡る国際交渉も続く。問題は「知った」先の、社会の動かし方だ。
サステナビリティは、いつの間にか“誰かの宿題”から“自分の話題”へ移り始めたらしい。トラストリッジが運営する「ELEMINIST」の調査では、家族や友人、職場でサステナの話をする機会が増えたと答えた人が8割を超えた。注目テーマは「ごみ問題」「気候変動」「食品ロス」。いずれも、遠い理念ではなく、台所やゴミ箱、猛暑の体感へ直結する。問題は次だ。関心の熱が、行動と制度に変わるかどうかである。
8割が“話すようになった”。サステナが日常語になった瞬間
調査は2026年1月、ELEMINISTのコミュニティ参加者83名を対象に実施された。サステナの話題が「増えた」と感じる人は80.7%。日本全体でも意識が高まっていると捉える人が約7割という。
ただし、母数は大きくない。しかも回答者は“サステナブルな暮らし”に関心が高い層だろう。とはいえ、ここに出た数字は、社会の空気の変化を示す小さな地震計でもある。言葉が会話に乗った時点で、価値観はもう一段、現実側へ寄る。
なぜ「ごみ」がトップなのか?“毎日触れる問題”の強さ
2026年に注目したい分野の1位は「ごみ問題」(65.1%)。次いで「気候変動」(61.4%)、「食品ロス」(59.0%)が続く。
ごみは、最も近い入口だ。分別の迷い、容器包装の多さ、回収日までのストレス。暮らしの中で“手触り”がある。だから家族とも共有しやすいし、行動にも落ちやすい。
一方で、ごみは単体では終わらない。焼却のエネルギー、埋立地、海洋流出、そしてプラスチック。国際社会でもプラスチック汚染を巡る条約交渉が続き、利害は鋭くぶつかっている。暮らしのゴミ箱と、外交のテーブルが同じ問題でつながる時代だ。

気候変動は“遠い大問題”から“体感の現実”へ
気候変動は長年語られてきた。だが近年は、抽象度が落ちた。猛暑、豪雨、農作物への影響、電力需給の逼迫——「今年の気候の動きも見ておきたい」という声が出るのは、体感が理解を追い越してきたからだろう。
IPCCは、温暖化が人間活動によって引き起こされ、すでに各地域の極端現象にも影響していると整理する。猶予は縮む。だからこそ、個人の工夫だけでなく、エネルギー・建築・都市計画・物流といった“社会の設計図”が問われる。
食品ロスは「もったいない」では止まらない。数字が示す規模感
食品ロスは、気分の問題ではなく資源の問題だ。日本では2022年度の食品ロス量が推計472万トン(家庭系・事業系ともに236万トン)とされる。
世界に目を向ければ、食品廃棄はさらに巨大だ。UNEPの「Food Waste Index Report 2024」は、2022年に世界で約10億5,000万トンの食品が廃棄されたと推計している。
食品は、つくる段階で水とエネルギーと土地を使う。捨てることは、資源の“二重損失”になる。インフレで食費が気になる局面ほど、ロス削減は家計の合理にもつながる。ここが広がりの鍵だ。
“正しさ”より“続けられる形”。調査が示した行動のコツ
興味深いのは、続ける秘訣として多く挙がったのが「義務にしない」「押し付けない」「自分が楽しむ」だった点だ。
サステナが嫌われる瞬間は、正義が他者を裁く時だ。逆に、選択肢が増え、見た目が可愛く、おいしく、心地よい——そうした“快”が伴うと行動は続く。ここには設計の余地がある。企業は商品を、自治体は回収や制度を、学校は学びを、「面倒」ではなく「やりやすい」へ組み替えられる。
「話題」を“インフラ”へ変える条件
会話はスタート地点に過ぎない。2026年の争点は、実装力だ。
第一に、見える化。ごみの量、食品ロス、CO₂排出を「生活者が理解できる言葉と単位」で示す。意識は、可視化で行動に接続する。
第二に、参加の設計。コンポスト、回収、リユース、イベント参加——調査でも“新たに挑戦したい”として具体行動が挙がっていた。挑戦が孤立しない導線が必要だ。
第三に、産業側の“当たり前”更新。過剰包装、廃棄前提の在庫、短サイクルの消費を、再設計する。ここは個人の努力では届かない領域である。
サステナは、もう流行語ではない。少なくとも、会話の中に居場所を得た。あとは、社会がそれを“回る仕組み”にできるか。2026年は、その分岐点になりそうだ。
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