国立大学法人東北大学は、新たなバイオプロセスを開発し、強力な温室効果ガスである一酸化二窒素(N2O)を高速で除去する技術を実現した。このプロセスは、高濃度N2Oに対しても高い処理性能を持ち、環境負荷を大幅に低減することが期待されている。

微生物反応を活用したN2O削減技術による環境負荷の低減

N2Oは、二酸化炭素(CO2)の273倍の地球温暖化係数を持ち、オゾン層破壊物質としても知られる環境に有害なガスだ。特に廃水処理プロセスからの排出が全体の5%を占めており、その削減は緊急の課題とされている。
東北大学環境科学研究科の久保田健吾准教授とそのチームは、微生物反応を利用した「Down-flow Hanging Sponge(DHS)リアクター」を用いて、N2Oを効果的に除去するプロセスを開発。このプロセスは、無酸素環境で発生するN2Oを対象としており、実験では高濃度のN2Oの90%以上を短時間で除去することに成功した。
特に、2,000ppmの高濃度N2Oにおいても18分で94%以上を除去できるという高い効果が確認された。さらにこの技術は化学物質を使用しないため、エネルギー消費を抑えた省エネルギー技術としても注目されている。
このプロセスは廃水処理のみならず、農業分野への応用も期待されており、持続可能な社会の構築に大きく貢献するだろう。今後は、実用化に向けて更なる研究と開発が進められ、実証実験も予定されている。
今回の成果は、化学工学分野の専門誌に掲載され、国内外から注目を集めている。東北大学は、2050年までのN2O排出量大幅削減を目指して、今後も研究を進めて持続可能な社会の実現に貢献していく考えだ。

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