★ここが重要!

★要点
2026年8月末、自然を「測る」ための動きが相次いだ。相模原市と奥村組は、市街地に残る樹林地「木もれびの森」で、生きものの鳴き声を24時間365日集め、AIが種を判定する実証実験を開始。国立環境研究所、森林総合研究所、北海道大学の研究チームは、全国199か所の鳥類調査と世界の研究のメタ解析から、耕作放棄地の生物多様性への影響が地域によって正にも負にもなることを突き止めた。そして環境省は、地域生物多様性増進法に基づく「自然共生サイト」の認定を進め、その数は610か所に達している。聴く技術、読み解く科学、認定する制度。ネイチャーポジティブを支える三つの歯車が、ようやく噛み合いはじめた。
★背景
2030年までに自然の損失を止め、回復へ反転させる——ネイチャーポジティブは国際的な合意になった。だが、そこには根本的な難問がある。自然は、炭素のように一つの単位で測れない。どこに何がいるのか、増えたのか減ったのか。それが分からなければ、守るべき場所も、手を引くべき場所も決められない。しかも日本は、世界に先んじて人口減少に直面する国だ。耕作放棄地は増え、森の手入れをする人は減っていく。「人が手を引いた土地」をどう扱うかという問いは、これから世界中が直面する。測ることは、手入れの前提である。地球の修理技術は、まず聴診器から始まる。

森は、実はにぎやかな空間だ。森閑とはしていない。
朝はシジュウカラとコゲラ、夏の夜はカエルと虫。人の耳が聞き分けられる音は、そのごく一部にすぎない。
2026年8月31日、相模原市が公表した実証実験は、その「聞こえていない音」を機械に預ける試みだった。森にマイクを置き、生きものの声を24時間集め、AIが種を判定する。共同で取り組むのは、建設会社の奥村組である。
同じ8月、筑波では別の発表があった。国立環境研究所、森林総合研究所、北海道大学の研究チームが、全国199か所の鳥類調査と世界各地の研究のメタ解析から、ひとつの答えを出した。耕作放棄地は、生物多様性にとって正でも負でもある。どちらになるかは、その地域にどんな鳥が多いかで予測できる——。
そして環境省の制度では、「回復」と「創出」を目的とする活動が、すでに国の認定対象になっている。
聴く。読み解く。認定する。
自然を守るという言葉が、ようやく手順を持ちはじめた。

森にマイクを置く。24時間365日、生きものの声を録りつづける

舞台は、相模原市南区の「木もれびの森」だ。
コナラやクヌギの雑木林が連なる、約73ヘクタールの平地林。首都圏では貴重な、まとまりのある緑地である。1973年に相模原近郊緑地特別保全地区に指定され、「かながわの美林50選」にも選ばれている。
ただし、この森はもともと放っておいて残ったわけではない。管理する人がいなくなり、荒れた時期があった。1989年から市が土地所有者から借り受けて管理を始め、市民ボランティアの手入れによって、いまの姿を取り戻している。人が手を入れつづけてきた森だ。
実証実験の中身はシンプルである。森に収音マイクを設置し、生物の音声を24時間連続で収集。AIが鳥類を中心に、哺乳類、両生類、昆虫などの種を判定する。電源は太陽光発電でまかなう自立運用だ。
そして、ここが肝心なのだが、目的は「AIに置き換えること」ではない。人手によるモニタリング調査など従来の手法と比較し、音声AIによる生物多様性モニタリングがどこまで使えるのかを検証する。適用可能性の検証——つまり、精度の答え合わせである。
相模原市は2018年から、市民協働で市内の生きもの調査を続けてきた。今回のデータはその蓄積に上乗せされ、可視化して市民に伝える方法も検討される。奥村組との取り組みは、2024年8月に結んだ包括連携協定に基づくものだ。
建設会社が森にマイクを置く。この配置が、すでに時代を語っている。

AIは「地球を見る機械」ではなく、「地球を聴診する道具」である

生きものの声をAIで聴く技術は、いま急速に立ち上がっている分野だ。
竹中工務店は2026年1月、AIとIoTを使った生物自動モニタリングシステム「いきものアイ」を発表した。水場に集まる野生動物の習性を利用し、水盤とカメラで24時間365日撮影した映像から、AIが鳥類の種を特定する。北海道大学との共同研究による成果である。
音響分析のハイラブルは2026年5月、鳴き声識別AI「KoeTurri」を公開。録音から識別、レポート生成までを一括で行い、レコーダー1台で無人モニタリングを実現するという。
背景にあるのは、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)に代表される情報開示の広がりだ。企業が自然への依存と影響を語るには、根拠となるデータが要る。自然共生サイトなどの認定を取得し、維持するにも、継続的な生物モニタリングが欠かせない。
つまり、生きものを数える行為が、経営の言語になりはじめている。
同じことは、空と海でも起きている。国立環境研究所は2026年8月26日、三つの機械学習モデルを組み合わせて海洋表面のCO₂濃度と大気・海洋間のCO₂交換量を再構築するデータセット「NIES-ML3」の最新版を公開した。8月21日には、インドネシア・スルポンにおけるオゾン、二酸化硫黄、窒素酸化物、粒子状物質の連続観測データも公開している。
AIを「答えを出す機械」だと思うと、話を見誤る。
森の音を聴き、海の炭素を推定し、大気の変化を記録する。いま起きているのは、地球の状態を継続的に測りつづけるための道具立てだ。診断ではなく、聴診。地球の修理技術は、まずここから始まる。

機器の外観
株式会社竹中工務店「AI・IoT活用の生物自動モニタリングシステム「いきものアイ」を開発 鳥類を自動識別、生物多様性の可視化を実現」(2026年1月27日)
種同定後の写真
株式会社竹中工務店「AI・IoT活用の生物自動モニタリングシステム「いきものアイ」を開発 鳥類を自動識別、生物多様性の可視化を実現」(2026年1月27日)

耕作放棄地は「荒廃」なのか、それとも「余白」なのか

測る技術が整っても、次の問いが残る。何を、どう読むのか。
その難問に正面から答えたのが、2026年8月27日に発表された研究だ。国立環境研究所の北沢宗大特別研究員、森林総合研究所の山浦悠一チーム長、北海道大学の河村和洋助教、先崎理之准教授、中村太士名誉教授らのチームによるもので、成果は7月27日付で『米国科学アカデミー紀要(PNAS)』に掲載された。
テーマは、耕作放棄地である。
人口減少が進む日本では、耕作や草刈りといった管理を続けられない農地が増えつづけている。この現象は、これまで研究者を悩ませてきた。日本の里山やイタリア、アルゼンチンの草原では、耕作放棄によって生物多様性が減ったと報告される。ところがカザフスタンやロシア、北海道では、農地開発で追われた生物が戻ってきたという逆の報告がある。
同じ変化なのに、地域によって結果が反対になる。この「状況依存性」は20年以上指摘されながら、統一的に説明されてこなかった。生物多様性条約でも、耕作放棄地の扱いは具体的に言及されないまま曖昧に置かれてきた。
研究チームは、北海道から九州まで199か所を選び、繁殖期と越冬期に鳥類調査を実施。記録された鳥を、主な生息環境から五つの機能群——湿原性、草原性、森林性、裸地性、水辺性——に分類した。
そして仮説を立てた。ある地域の鳥類群集に、農地を好む裸地性・水辺性の鳥がどれだけ含まれているか。それが答えを決めるのではないか、と。

低地の耕作放棄水田
国立研究開発法人 国立環境研究所「耕作放棄は生物多様性にとって正か負か?—全国野外調査と全球メタ解析で保全上の価値を予測—」(2026年8月27日)より
本研究で提案した概念モデル 群集レベル(調査した地域に生息する鳥類全種)の種数・個体数がどの土地利用で最も多くなるかは、地域の群集に優占する機能群によって異なる。例えば、地域の群集に湿原・草原・森林性鳥類が優占する場合(A)は、未圃場整備水田や圃場整備水田よりも、耕作放棄地で鳥類種数が多いと予測した。 国立研究開発法人 国立環境研究所「耕作放棄は生物多様性にとって正か負か?—全国野外調査と全球メタ解析で保全上の価値を予測—」(2026年8月27日)より

半数以上が農地の鳥なら減り、湿原と森の鳥が多ければ増える

結果は、明快だった。
ポーランド、ブルガリア、そして繁殖期の本州中部以南では、その地域の鳥のおよそ半数以上が、農地を主な生息地とする裸地性・水辺性の種だった。こうした地域では、耕作放棄地に現れる鳥の種数は農地より少ない。繁殖期の九州では、圃場整備されていない水田の鳥類種数が、耕作放棄地の約1.4倍と推定された。
一方、ロシアやオーストラリア、繁殖期の北日本、越冬期の南日本では、湿原性・森林性の鳥がより多く含まれる。ここでは逆転する。繁殖期の北海道では、低地の耕作放棄地の鳥類種数が、未圃場整備水田の約2.4倍にのぼると推定された。
耕作放棄地そのものも、一様ではなかった。全国の耕作放棄地で確認された鳥は合計87種。水はけの悪い低地ではヨシが茂り、湿原に似た環境が成立してオオジシギやオオヨシキリが集まる。水はけがよく樹木が茂る山地ではウグイスやシジュウカラが多い。同じ「放棄」でも、地形と景観によって、湿原にも森にも変わっていく。
そこには、絶滅の危機に瀕した鳥もいた。国内の個体数が300個体程度とされる亜種アカモズ、50個体を下回るとされるサンカノゴイが、特定の耕作放棄地で繁殖期を通じて確認されている。岡山県のある耕作放棄地では、越冬期に2ヘクタールあたり73個体のオオジュリンが記録された。北の湿原で繁殖した渡り鳥が、南の耕作放棄地で冬を越していたのである。
過去の農地開発で失われた草原や湿原。その代替の住処として、人が手を引いた土地が機能している。

耕作放棄地のアカモズ
国立研究開発法人 国立環境研究所「耕作放棄は生物多様性にとって正か負か?—全国野外調査と全球メタ解析で保全上の価値を予測—」(2026年8月27日)より
鳥類群集への耕作放棄影響と地域の裸地・水辺性鳥類の構成割合の関係 効果量が0を超えると農地よりも耕作放棄地で群集規模(全種)の鳥類種数が多く、効果量が0を下回ると農地よりも耕作放棄地で群集規模の鳥類種数が少ないことを表す。すなわち、その地域の群集に裸地・水辺性鳥類が多く含まれる場合、耕作放棄地よりも農地で群集規模の鳥類種数が多くなり、耕作放棄の生物多様性への影響が負に評価されやすいことを示唆しています。円の大きさはサンプルサイズやばらつきで補正された、各地域の効果量推定時の重みづけの大きさを表す。
国立研究開発法人 国立環境研究所「耕作放棄は生物多様性にとって正か負か?—全国野外調査と全球メタ解析で保全上の価値を予測—」(2026年8月27日)より

もう一つの脅威は、放棄ではなく「均一化」だった

この研究には、見落とされやすい指摘がもう一つある。
繁殖期の九州の推定では、未圃場整備水田の鳥類種数は、圃場整備された水田の約1.8倍だった。放棄と比べる以前に、農地そのものの中で差がついている。
圃場整備とは、機械作業や水管理がしやすいよう小さな田畑を大きく整形しなおすことだ。効率は上がる。だがそこには、あぜ(けいはん)の除去や土水路の消失、生息環境の均質化がともなう。研究チームはこれを、耕作放棄と並ぶ農地生態系への脅威とみなす場合があると明記している。
つまり、生物多様性を減らすのは「耕さなくなること」だけではない。「効率よく耕すこと」もまた、減らしうる。
したがって、本州以南で問われるのは農地面積の維持ではない。あぜや土水路など、生きものが使える要素を残した水田を維持できるかどうかだ。
耕作放棄地=悪、でもなければ、自然に返せばよい、でもない。
土地の履歴と生態系を見て、手を入れる場所と、自然の遷移に任せる場所を選び分ける。判断の解像度が、そのまま保全の質になる。

制度は、すでに「回復」と「創出」を数え始めている

こうした議論を、制度の側はどう受け止めているのか。
環境省は2023年度から、民間の取り組みによって生物多様性の保全が図られている区域を「自然共生サイト」として認定してきた。2025年4月には、これを法制化した「地域生物多様性増進法」が施行されている。
企業やNPOがつくる「増進活動実施計画」、市町村が取りまとめ役となって地域の多様な主体と連携する「連携増進活動実施計画」。これらを環境大臣、農林水産大臣、国土交通大臣の三大臣が認定し、その実施区域が自然共生サイトになる。認定事務は環境再生保全機構(ERCA)が担う。
注目すべきは、認定の対象が三つのタイプに分かれている点だ。すでに生物多様性が豊かな場所を維持する「維持タイプ」。管理放棄地などで生物多様性を回復する「回復タイプ」。開発跡地などで創出する「創出タイプ」。
守るだけの制度ではない。壊れた場所を戻す活動、なかった場所につくる活動も、国が数える対象になっている。
令和8年度第1回の認定では、増進活動実施計画55か所(維持47、回復5、創出3)と連携増進活動実施計画1か所(回復1)、合わせて56か所が認定された。これにより自然共生サイトは合計610か所となった。維持タイプは、保護地域と重複しない区域がOECM(保護地域以外で生物多様性保全に資する区域)として国際データベースに登録される予定だ。回復・創出タイプは、活動を続けて生物多様性が実際に豊かになった時点で登録される。
制度は、結果で判定する構えを取っている。
だとすれば、結果を測る手段が要る。森のマイクも、鳥類調査も、機能群の理論も、そこに接続していく。

手入れをやめる勇気と、手入れを続ける覚悟

三つのニュースを並べると、一本の線が見えてくる。
木もれびの森は、人が手を入れつづけることで守られてきた森である。一方、全国の耕作放棄地には、人が手を引いたことで戻ってきた鳥がいる。
矛盾しているように見えて、していない。どちらも「その土地に何がいるか」を見た上での判断だからだ。
これまで日本は、手入れをやめることを一律に「荒廃」と呼んできた。人口が増え、土地が足りない時代の語彙である。だが人口減少が本格化するこれからは、すべての土地に人手を配ることができない。限られた手をどこに置くのか、置かないのか。その選択を迫られる。
そのとき必要になるのが、感覚ではなく根拠だ。
どの森に何種いるのか。放棄された田に、絶滅危惧種が越冬していないか。あぜを一本残すことに、どれだけの意味があるのか。
AIが森の音を聴きつづけ、研究者が機能群という物差しを提示し、制度が回復と創出を認定する。ばらばらに見える三つの動きは、同じ問いに向かっている。
自然を守るとは、何もしないことではない。何をして、何をしないかを、根拠をもって決めることだ。
地球の修理技術は、聴診器から始まる。まず、聴くこと。測ること。そして手を入れる場所を、選ぶこと。
森は、静かではない。ただ、これまで誰も本気で聴いていなかっただけである。

出典・情報源:

■ 自然共生サイトの認定(令和8年度第1回)/環境省 地域生物多様性増進法に基づく「自然共生サイト」の認定(令和8年度第1回)について(2026年6月30日) https://www.env.go.jp/press/press_05186.html
増進活動実施計画 認定結果
https://www.env.go.jp/content/000407455.pdf
連携増進活動実施計画 認定結果
https://www.env.go.jp/content/000407456.pdf
自然共生サイトの認定について
https://www.env.go.jp/content/000408124.pdf

■ 音声AIによる生物モニタリング実証実験/相模原市・奥村組 【相模原市】生き物の声をAIが分析!「木もれびの森」でAIを使用した生物モニタリングの実証実験を実施します(2026年8月31日)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000619.000072959.html
相模原市 生物多様性ポータルサイト
https://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/kurashi/1026489/kankyo/1026504/seibutsu/index.html
相模原中央緑地(木もれびの森)
https://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/kurashi/shisetsu/kouen_kankou/kouen_ryokuchi/1003097.html

■ 耕作放棄と生物多様性の研究/国立環境研究所・森林総合研究所・北海道大学 耕作放棄は生物多様性にとって正か負か? —全国野外調査と全球メタ解析で保全上の価値を予測—(2026年8月27日)
https://www.nies.go.jp/pr/news-and-updates/2026/Press20260827.html

■ 環境データの公開/国立環境研究所 地球環境データベース(GED)
NIES-ML3(海洋表面CO₂/機械学習アンサンブル、2026年8月26日更新)
インドネシア・スルポンの大気連続観測データ(2026年8月21日公開)

https://db.cger.nies.go.jp/ged/ja/

■ 参考:生物モニタリングAIの動向 ・竹中工務店「いきものアイ」(2026年1月28日)
https://www.takenaka.co.jp/news/2026/01/02/
ハイラブル「KoeTurri」(2026年5月28日)
https://hylable.com/news/20260528/

FAQ

Q. 音声AIによる生物モニタリングとは何ですか?
A. 森などにマイクを設置し、生きものの鳴き声を連続して録音し、その音をAIが分析して種を判定する手法である。鳥類を中心に、哺乳類、両生類、昆虫などが対象となる。人が現地に立ち会わなくても、24時間365日のデータを取得できる点が特徴だ。

Q. 人による調査は不要になるのですか?
A. ならない。相模原市と奥村組の実証実験も、従来の人手による調査と比較し、音声AIがどこまで使えるかを検証することが目的である。AIは調査の頻度と連続性を高める道具であり、専門家の判断や現地観察を置き換えるものではない。

Q. なぜ建設会社が生物モニタリングに取り組むのですか?
A. 企業が自然への依存と影響を開示する動きが広がり、緑地の認定・認証を取得・維持する際にも、継続的な生物データが求められるようになったためである。建設や不動産の事業は土地と生態系に直接関わるため、測る技術そのものが事業の一部になりつつある。

Q. 耕作放棄地は生物多様性にとって良いのですか、悪いのですか?
A. 地域による、というのが今回の研究の答えである。その地域に農地を好む鳥(裸地性・水辺性)が多ければ、耕作放棄によって種数は減る。湿原性や森林性の鳥が多ければ、逆に増える場合がある。地域の鳥類群集の構成から、影響の向きを予測できることが示された。

Q. 「機能群」とは何ですか?
A. 環境への反応が共通する生物のまとまりのことである。今回の研究では鳥類を、主な生息環境に基づいて湿原性、草原性、森林性、裸地性、水辺性の五つに分類した。個々の種ではなく機能群で見ることで、地域を越えた比較と予測が可能になる。

Q. 圃場整備は生物多様性にどう影響しますか?
A. 小さな田畑を大きく整形しなおす圃場整備は、農作業の効率を高める一方で、あぜの除去や土水路の消失、生息環境の均質化をともなう。研究では、耕作放棄と並ぶ農地生態系への脅威とみなされる場合があると位置づけられている。

Q. 自然共生サイトとは何ですか?
A. 民間の取り組みなどによって生物多様性の保全が図られている区域を、国が認定する制度である。2023年度に開始され、2025年4月施行の地域生物多様性増進法によって法制化された。企業の森、里地里山、都市の緑地などが対象となる。

Q. 自然共生サイトの「回復タイプ」「創出タイプ」とは?
A. すでに豊かな場所を守る「維持タイプ」に対し、管理放棄地などで生物多様性を回復させる活動が「回復タイプ」、開発跡地などで新たに生み出す活動が「創出タイプ」である。守るだけでなく、戻す・つくる活動も認定対象になっている点が、この制度の要になっている。

Q. OECMとは何ですか?
A. 保護地域以外で、生物多様性の保全に結果として貢献している区域を指す。自然共生サイトのうち保護地域と重複しない部分が、国際データベースに登録される。2030年までに陸と海の30%以上を保全する「30by30」目標の達成に直結する仕組みである。

Q. 人口減少と生物多様性は、どう関係しますか?
A. 管理を続けられない土地が増えるため、すべての場所に人手を配ることができなくなる。どこに手を入れ、どこを自然の遷移に任せるかを選び分ける必要が生じる。その判断を感覚ではなく根拠で行うために、測る技術とデータが不可欠になる。

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