★ここが重要!

★要点
アルメニアの首都エレバンで開かれていた生物多様性条約の第17回締約国会議(COP17)が、会期を延長し、10月31日朝に閉幕した。条約事務局によると、会議では約50の決定が採択された。中心となったのは、2030年までの行動を加速する「エレバン・パスウェイ」。会期中には、約20億ドルの新たな資金も表明された。
一方、資金を集め、必要な国や地域に届ける仕組みには課題が残る。遺伝情報の利用から利益を還元する「カリ基金」は、COP18に向けた作業部会での検討や、一定の資金が集まった場合の例外的な支払いの仕組みに合意したが、集まった額はまだ1万ドル余りにとどまる。
合意の前進と、実行までの距離。その両方を見る必要がある。

★背景
2022年に採択された「昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)」は、2030年に向けて23の行動目標を掲げた。2030年までにあらゆる資金源から年間少なくとも2,000億ドルを動員すること、自然に有害な補助金などを年間少なくとも5,000億ドル減らすことも、このときに決まった目標だ。
COP17は、その実施状況を世界全体で点検する初めての会議だった。会議に先立って公表された報告の結論は、世界は23の目標を2030年までに達成する軌道に乗っていない、というものだった。
資金の不足に加え、自然を損なう経済の仕組み、政府や社会の関わり方も問われている。次の段階は、会議で決めたことを、予算と制度、そして地域の手入れに移すことだ。

夜が明けても、交渉は続いた。
10月30日までの予定だった会議の最終の全体会合は、夜を徹して続いた。閉幕したのは、翌31日の朝。AFP通信によると、現地時間の午前10時ごろだった。
エレバンで開かれた生物多様性条約のCOP17。各国は、2030年までの取り組みを加速する「エレバン・パスウェイ」に合意した。
だが、合意したことと、自然が回復することは同じではない。
表明された資金は、実際に支払われるのか。必要な地域に届くのか。自然を傷める政策や事業は、変わるのか。
合意は前進した。次に確かめるべきは、持ち帰ってからの仕事である。

延長の末に、約50の決定

COP17は10月19日に開幕した。会期中には、遺伝子組換え生物の安全な取り扱いを扱うカルタヘナ議定書と、遺伝資源へのアクセスと利益配分を扱う名古屋議定書の締約国会合も並行して開かれた。
条約事務局の閉幕の発表によると、COP17と2つの議定書の会合からなる会議で、約50の決定が採択された。環境省の結果概要によると、参加者は約1万3,000人で、条約の締約国会議として過去最大規模とされる。
扱われたのは、保護地域と森林の生物多様性、海洋と沿岸の生物多様性、外来種、野生生物の持続可能な管理、遺伝子組換え生物のリスク評価、合成生物学、そして生物多様性の主流化など。自然を守る現場につながる、幅広い議題である。
先住民と地域社会に関する新しい常設の補助機関(条約第8条(j))の運営規則にも合意した。この運営規則は、「セヴァン・ガイドライン」と名づけられた。環境省によると、伝統的な知識などをGBFの実施に反映するための任意のガイドラインも採択された。地域で自然とともに暮らしてきた人々の知識と役割を、条約の実施の仕組みに位置づける動きだ。
ただし、すべての議題がまとまったわけではない。環境省によると、時間切れで審議が中断した議題は、手続き規則に従って次回の会合に送られた。名古屋議定書の会合では、地球規模で利益を配分する多国間の仕組みについて意見が一致せず、次回に持ち越された。
COP17議長を務めたアルメニアのハンバルズム・マテボシャン環境相は、閉幕にあたって、こう述べた。
「この2週間で、私たちは示した。違いは埋められること、約束は決定になりうること、そして協力は成果を生むことを」

「エレバン・パスウェイ」——点検を、次の行動へ

今回の中心は、GBFの実施状況を世界全体で確かめる、初めてのグローバルレビューだった。
環境省の結果概要によると、点検は、129の締約国が提出した第7回国別報告書などを主な情報源とする報告を踏まえて行われた。その評価への応答が、エレバン・パスウェイである。
環境省は、パスウェイの柱を、行動と実施の加速、範囲と対象の拡充、実施手段の強化、政府全体・社会全体の参画、モニタリングと知識の強化と整理している。
条約事務局の発表は、2030年までの優先事項として、より具体的な課題を挙げた。自然に有害な補助金やインセンティブ(誘因)への対処。途上国への資金・科学・技術の支援の拡大。国の予算や経済の意思決定をGBFに沿ったものにすること。そして、実施、モニタリング、報告、点検の仕組みを強めることだ。
新しい目標を並べるだけでは、自然は変わらない。すでに決めた目標を、どの省庁が、どの予算で、誰と動かすのか。今回の合意は、その段階へ進むことを求めている。
診断も、一度で終わるわけではない。手を入れ、その結果を測り、必要なら方法を変える。2回目のグローバルレビューはCOP19で行われる予定で、そのために指標や国別報告の改善を進めることも決まった。2030年より先を見据えた検討にも着手する。点検と手入れの繰り返しは、2030年まで、そしてその先へと続く。

約20億ドルの表明。年間目標とは分けて読む

条約事務局によると、会議に合わせて、約20億ドルの新たな生物多様性資金が表明された。地球環境ファシリティ(GEF)の第9次増資とGBF基金で5億6,000万ドル、種の回復を進める「種の回復アライアンス」で5億ドル、「バリュー・ネイチャー基金」で3億3,000万ドル超などだ。アジア開発銀行は、生物多様性債券と投資のインキュベーター(事業を育てる仕組み)を打ち出した。
ただし、ここで数字の単位をそろえておきたい。
約20億ドルは、会議に合わせて新たに表明された資金の集計だ。閉幕の発表だけでは、それぞれの支出期間や、実際の入金・実行の状況まではわからない。
一方、GBFの目標は、国内・国際、公的・民間など、あらゆる資金源から2030年までに年間少なくとも2,000億ドルを動員すること。そのうち、先進国などから途上国への国際的な資金は、2025年までに年間少なくとも200億ドル、2030年までに年間少なくとも300億ドルへ増やすとされている。
会期中の新規表明額と、世界全体の年間資金量は、対象も期間も違う。この二つを割って「達成率1%」としたり、差額をそのまま不足額としたりすることはできない。問われるのは、表明したお金が実際に動くか、既存の資金に何を上積みするか、そして必要な現場に届くかだ。
誰がお金を出すのか。この問いは、形を変えて残った。
英国の気候専門メディア、カーボン・ブリーフによると、拠出の義務を負う先進国のリストは広げられなかった。リストにない国は、COP18までに非公開の協議を通じて参加の意思を示すことができ、途上国も任意で拠出できる形となった。将来の恒久的な資金の仕組みについては、2030年以降の仕組みを設けることを決めたが、新しい基金にするのか、既存の仕組みを使うのかといった形はCOP18に持ち越された。WWFジャパンは、仕組みの基準に合意したことを、設計の前進として評価している。
自然に有害な補助金などを、2030年までに年間少なくとも5,000億ドル減らすというGBFの目標も重要だ。守るお金を増やすだけでなく、壊す方向に流れるお金を変えられるか。二つの流れを合わせて見なければ、資金の通信簿は書けない。

カリ基金は「全面先送り」ではない。だが、前進は最低限

遺伝資源のデジタル配列情報(DSI)、つまり生物の遺伝情報をデジタル化したデータの利用から生まれる利益を、どう自然の保全へ還元するか。その受け皿となるのが、2024年のCOP16で創設が決まった「カリ基金」だ。
資金集めの難しさは、会期中にも浮き彫りになった。カーボン・ブリーフによると、COP17の開幕時に基金にあったのは6,000ドル。閉幕時点でも、表明額は1万565ドル、実際の預け入れは9,000ドルに満たなかった。AFP通信によると、基金は年間10億ドル規模の資金を集められると見込まれていた。
今回の会議で、基金をめぐる問題が解決したわけではない。だが、2028年まで何も動かさないと決めたわけでもない。
カーボン・ブリーフによると、多くの作業は、COP18に向けた会期間の作業部会での検討に回された。一方で、拠出が1億5,000万ドルに達した場合には、運営委員会が例外的に支払いを行える暫定的な仕組みにも合意した。拠出したことを示す証明書は、利益の1%、または売上高の0.1%を拠出した企業などに限って発行されることになった。
環境省の結果概要も、DSIの利用の程度に応じた拠出のあり方や、カリ基金の証明書が企業にとってどんな法的効果を持つかは引き続き検討するとしたうえで、資金の配分方法や運営の体制を具体化し、COP18でのレビューに向けて暫定的な運用を行うと整理している。
WWFジャパンは、カリ基金の進展を「最低限の前進」と評価している。
宿題は残った。しかし、宿題を解く場と、次の会議までに進める仕事も定められた。未解決と無決定は、同じではない。

科学をめぐる対立。その先に残ったもの

会期中には、科学的な評価を決定の中でどう扱うかをめぐる対立もあった。
議論の対象は、生物多様性と生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム(IPBES)の評価だ。生物多様性、水、食料、健康などのつながりを示した評価や、社会の変革についての評価など、自然と経済や暮らしの関係を科学から捉える報告である。
カーボン・ブリーフによると、生物多様性と気候変動に関する決定では、変革についての評価への言及が削られた。一方、つながりについての評価への言及は、英国が示した妥協案をロシアが受け入れる形で残された。
最終的には、環境省の結果概要によると、IPBESの3つの評価(生物多様性・水・食料・健康の相互関係、社会変革、ビジネスと生物多様性)の科学的知見を、GBFの実施などに活用するよう締約国に奨励する決定が採択された。
それでも、閉幕の全体会合では、AFP通信によると、スイスの代表が56か国を代表して、科学的な知見やその活用が疑問視され、制約される事例が増えていることに遺憾の意を示した。
フランスのモニク・バルビュ環境移行相は、COP17の結果を「課題の大きさに見合っていない」と評価し、「ここで得られなかった前進は、すべて失われた機会だ」と述べた。
観察と評価を、政策と手入れにつなぐ。その回路を守ることも、自然を守る仕事の一部である。

次は2028年、エクアドル・キトへ

次回のCOP18は、2028年の第4四半期に、エクアドルの首都キトで開かれる。
環境省の結果概要によると、開催地にはエチオピア、エクアドル、パナマが立候補した。エチオピアが辞退し、エクアドルとパナマの投票で、エクアドルに決まった。エクアドル環境エネルギー省も10月30日、各国代表団の投票によって開催国に選ばれたと発表している。
エクアドルは、アマゾンの熱帯雨林、アンデスの山々、そしてガラパゴス諸島を抱える、世界有数の生物多様性の国だ。
2030年の目標年まで、残り2年あまりとなる時期の会議になる。今回の約束が、計画のままなのか、それとも予算と現場を動かしたのか。重要な確認の機会になるだろう。

日本の700か所。その数の先を確かめる

日本からは、環境省、外務省、経済産業省、農林水産省などの関係者が参加した。閣僚級の会合には、三ッ林裕巳環境副大臣と、関谷毅史環境省地球環境審議官が出席した。
環境省によると、三ッ林副大臣は10月27日の代表演説で、自然共生サイトや、企業・地方自治体・市民社会を含む「社会全体」での取り組みを紹介した。2027年に横浜で開かれる国際園芸博覧会「GREEN×EXPO 2027」への参加も呼びかけている。会場では、愛知県、川崎市、神戸市などの自治体や経団連自然保護協議会も、地域の戦略や企業の取り組みを発信した。
そして会期の終盤、国内でも一つの数字が更新された。
環境省は10月30日、民間の取り組みなどで生物多様性の保全が図られている区域「自然共生サイト」として、新たに122か所を認定したと発表した。環境省によると、自然共生サイトは合計700か所になった。今回の内訳は、良好な自然を保つ「維持タイプ」が112か所、自然を取り戻す「回復タイプ」が7か所、新たに自然をつくる「創出タイプ」が3か所だ。
認定が増えたことは、保全や回復に関わる場所と主体が広がったことを示す。ただし、700か所すべてで回復の成果が確認された、という意味ではない。
自然共生サイトと、保護地域以外で生物多様性の保全に役立つ区域を国際的に位置づける「OECM」も、同じ数字ではない。環境省は、維持タイプは保護地域と重なる部分を除いて国際データベースに登録し、回復・創出タイプは生物多様性の状態が豊かになった時点で登録することを予定している。
面積で見ると、環境省が8月3日に公表した時点で、保護地域とOECMを合わせた割合は陸域21.0%(うちOECMは0.2%)、海域13.3%。2030年までに陸と海の30%を保全する「30by30」には、まだ距離がある。
国の目標の進み具合も、評価した時期とともに読む必要がある。環境省が2026年2月20日に公表した生物多様性国家戦略の中間評価では、40の国別目標のうち「目標達成に向けて順調」は8。「進展したが、その程度は不十分」が22、「大きな進展なし」が9、「不明」が1だった。評価の対象は、原則として2023年3月31日から2025年6月30日までの期間である。
守る場所の数。保全する面積。生態系の状態。取り組みの進み具合。これらを一つの数字に押し込めず、それぞれの変化を追っていきたい。

問われるのは、「持ち帰ってから」

エレバン・パスウェイを日本で動かすとは、何をすることなのか。
自治体なら、認定された場所で誰が手入れを続け、その費用をどう確保するかを考えること。企業なら、自社や調達先の事業が自然にどう依存し、何を変える必要があるかを確かめること。金融機関なら、必要な資金が保全や回復の現場に届く条件を整えることだろう。
これは、今回の合意を国内の仕事へ引き寄せたときに見えてくる課題である。COP17の決定だけで、日本の企業に同じ義務が直ちに生まれる、ということではない。
条約事務局のアストリッド・ショーメーカー事務局長は、閉幕にあたってこう語った。
「自然の破壊にお金を出し続けながら、自然を守ることはできない」
「試されるのは、各国政府がエレバンで何に合意したかではない。国に戻って、何を変えるかだ」
自然は、会議の決定の数では回復しない。資金の表明額だけでも回復しない。必要な資金と技術が届き、地域の人が関わり、変化を測りながら手入れを続けて、初めて結果が見える。
2030年まで、残り約4年。
地球の手入れは、会議場から、それぞれの国の予算と現場へと戻っていく。

参考:

UN Biodiversity Conference charts Yerevan Pathway to accelerate global action for nature(生物多様性条約事務局、2026年10月31日)
https://www.cbd.int/doc/press/2026/pr-2026-10-31-cop17-en.pdf

生物多様性条約第17回締約国会議(CBD-COP17)、カルタヘナ議定書第12回締約国会合(CP-MOP12)及び名古屋議定書第6回締約国会合(NP-MOP6)の結果概要について(環境省、2026年11月2日)
https://www.env.go.jp/press/press_05696.html
・結果概要(PDF):https://www.env.go.jp/content/000439580.pdf

グローバルレビューに関する決定案(CBD/COP/17/L.15)
https://www.cbd.int/doc/c/a1ad/0628/41987af10d6a81059f6b3e90/cop-17-l-15-en.pdf

COP18の開催地に関する決定案(CBD/COP/17/L.32、2026年10月30日)
https://www.cbd.int/doc/c/d829/5049/d1828bc5fc55830211b09255/cop-17-l-32-en.pdf

Global review of collective progress in the implementation of the Kunming-Montreal Global Biodiversity Framework(生物多様性条約事務局)
https://cbd.int/gbf/implementation/globalreview

Ecuador será sede de la Conferencia sobre Biodiversidad más importante del mundo(エクアドル環境エネルギー省、2026年10月30日)
https://www.ambienteyenergia.gob.ec/ecuador-sera-sede-de-la-conferencia-sobre-biodiversidad-mas-importante-del-mundo/

COP15: Nations Adopt Four Goals, 23 Targets for 2030 In Landmark UN Biodiversity Agreement(生物多様性条約事務局、2022年12月19日。GBFのターゲット18・19の本文)
https://www.cbd.int/article/cop15-cbd-press-release-final-19dec2022

地域生物多様性増進法に基づく「自然共生サイト」の認定(令和8年度第2回)について(環境省、2026年10月30日)
https://www.env.go.jp/press/press_05720.html

自然共生サイト等の国際データベースへの登録に関する発表(環境省、2026年8月3日)
https://www.env.go.jp/press/press_05386.html

生物多様性国家戦略2023-2030の実施状況の中間評価等に関する発表(環境省、2026年2月20日)
https://www.env.go.jp/press/press_02975.html
・中間評価の概要(PDF):https://www.env.go.jp/content/000379257.pdf

(報道)COP17: Key outcomes agreed at the UN biodiversity conference in Yerevan(Carbon Brief、2026年10月31日)
https://www.carbonbrief.org/cop17-key-outcomes-agreed-at-the-un-biodiversity-conference-in-yerevan

【COP17現地報告】生物多様性条約COP17閉幕 総括 ~2030年に向けて(WWFジャパン、2026年10月31日)
https://www.wwf.or.jp/activities/activity/6452.html

(報道)Countries reach COP17 deal to speed up biodiversity action, but money still short(ロイター通信、2026年10月31日)
https://www.internazionale.it/ultime-notizie-reuters/2026/10/31/countries-reach-cop17-deal-to-speed-up-biodiversity-action-but-money-still-short

(報道)En Arménie, clôture d’une COP 17 “pas à la hauteur des enjeux”(AFP通信、2026年10月31日)
https://fr.le360.ma/monde/en-armenie-cloture-dune-cop-17-pas-a-la-hauteur-des-enjeux_SOHLA5XRSVFQFAR7XOEEGW7Z2A/

FAQ

Q. COP17では何が決まったのですか?
A. 条約事務局によると、COP17と2つの議定書の会合からなる会議で、約50の決定が採択された。中心となる「エレバン・パスウェイ」は、初めてのグローバルレビューを踏まえ、2030年に向けた実施を加速する方向を示す。資金、DSIとカリ基金、先住民と地域社会の参画などについても合意があった。

Q. 約20億ドルは、年間2,000億ドルの目標の1%にあたるのですか?
A. 同じ条件の数字ではないため、目標の達成率として比べることはできない。約20億ドルは会議に合わせた新たな資金表明の集計であり、年間2,000億ドルは2030年までに国内・国際、公的・民間などあらゆる資金源から動員する年間額の目標だ。表明と実際の資金の実行も、分けて確かめる必要がある。

Q. カリ基金の議論は、すべて2028年へ先送りされたのですか?
A. そうではない。多くの作業はCOP18に向けた作業部会での検討に回されたが、拠出が1億5,000万ドルに達した場合に例外的な支払いを行える暫定的な仕組みや、証明書を発行する条件には合意した(カーボン・ブリーフ)。環境省も、資金の配分方法や運営の体制を具体化し、COP18でのレビューに向けて暫定的な運用を行うと整理している。ただし、閉幕時点で集まった額は表明で1万565ドルにとどまり、WWFジャパンは「最低限の前進」と評価している。

Q. IPBESの科学的評価は、どう扱われたのですか?
A. 扱いをめぐって対立はあったが、環境省の結果概要によると、IPBESの3つの評価の科学的知見をGBFの実施などに活用するよう締約国に奨励する決定が採択された。一方、カーボン・ブリーフによると、生物多様性と気候変動に関する決定では、社会の変革についての評価への言及が削られた。閉幕の全体会合では、スイスが56か国を代表し、科学的な知見の活用が制約される事例が増えていることに遺憾の意を示した。

Q. 次のCOP18は、いつ、どこで開かれますか?
A. 2028年の第4四半期に、エクアドルの首都キトで開かれる。環境省によると、エチオピア、エクアドル、パナマが立候補し、エチオピアの辞退後、投票でエクアドルに決まった。2回目のグローバルレビューはCOP19で予定されており、COP18がすべての点検の最後の機会という意味ではない。

Q. 自然共生サイト700か所は、すべてOECMに登録済みですか?
A. 同じではない。自然共生サイトは国内の認定であり、OECMは保護地域以外で生物多様性の保全に役立つ区域を国際的に位置づける枠組みである。環境省は、維持タイプは保護地域との重なりを除いて登録し、回復・創出タイプは生物多様性の状態が豊かになった時点で登録することを予定している。

Q. 「40の目標のうち順調は8」は、いつの評価ですか?
A. 環境省が2026年2月20日に公表した生物多様性国家戦略の中間評価の結果で、対象は原則として2023年3月31日から2025年6月30日までの期間だ。COP17の閉幕時点の状況を、新たに採点した数字ではない。

Q. 企業や自治体にとって、次の課題は何ですか?
A. 保全や回復の計画を、予算、担当者、実施の工程、継続的な観察につなぐことだろう。場所の認定や資金の表明にとどまらず、生態系や地域の暮らしにどんな変化が生じたかを確かめることが重要になる。国内の制度上の義務とは区別して考える必要がある。

あわせて読みたい記事

【COP17最終盤、焦点は「お金」と「ルール」】自然を壊す30ドルと、直す1ドル エレバンで問われる資金の流れと、日本が持ち帰るべき宿題

【COP17開幕、日本は何を持ち込むか】TNFDに動く企業、「質」を問われる海の保護区 昆明・モントリオール枠組の初のグローバルレビューへ——測った数字を、次の手入れにつなぐ

【COP17直前、日本の自然の通信簿】竹林と外来種が広がり、草原と湿地のつながりが細る 50年にわたる自然環境保全基礎調査と、文献・環境DNAによる淡水魚調査から読む変化の記録

【自然共生サイト610箇所。それでも陸のOECMは0.2%】30by30の現在地~数字で読むネイチャーポジティブ

【自然のものさしは、一つになれるのか】TNFD、GRI、ISOが進める「一度測り、何度も使う」自然関連開示