日本在住のイタリア人精神科医パントー・フランチェスコ氏の著書「実践 アニメ療法 臨床で役立つ物語の処方箋」が2024年6月に発売された。本書は、アニメを臨床心理カウンセリングの手法として活用することを提案する専門書であり、具体的な症例や作品を交えながらその効果を解説している。

アニメを用いた臨床心理カウンセリング

本書は、日本で初めてアニメをセラピーの場で使用する手法について詳述している。著者のフランチェスコ氏は、イタリア出身ながら日本で医師免許を取得し、自身もアニメによって救われた経験を持つ精神科医。アニメ療法を「現代の日本社会で最もアクセスしやすいメンタルケアツール」と位置づけ、その具体的な適用方法を紹介している。
物語を通じて精神的な効果を得ることは古くから知られており、本書では特にアニメ作品が持つ力に注目している。ナラティブセラピーの一環として、物語を用いた治療の意義や効果についても詳しく解説されており、アニメが感情移入を促し、認知や感情のポジティブな変化を助けるとされている。
本書では、アニメ療法を実際にどのように提供するかについても詳細に説明されている。初心者から経験者まで幅広い対象者に対応したセッションの流れや、作品選びのコツ、ターゲットとゴールの設定方法、鑑賞体験の分析手法などが具体的に紹介されている。
フランチェスコ氏は、本書の中でアニメ療法の未来についても言及している。バーチャルキャラクターを用いたカウンセリングの可能性や、保険診療と自由診療の間におけるアニメ療法の位置づけなど、今後の展望が描かれている。さらに、著者自身がアニメ療法を推す理由や、その治癒効果についても詳述されており、読者にとって新たな視点を提供する内容となっている。

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