カナデビア株式会社(以下、カナデビア)と国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下、産総研)、株式会社AIST Solutions(以下、AIST Solutions)は、共同で新たな触媒およびプロセスを開発し、CO2から直接液化石油ガス(LPG)を低圧条件で合成する技術を確立した。2025年春には実証実験を開始する予定で、年間3~4トンのLPG生産を目指している。

CO2を活用した次世代エネルギーへの一歩

カナデビア、産総研、AIST Solutionsの3者は、共同研究を通じて新たに開発した専用触媒と合成プロセスを用い、CO2を利用したLPGの低圧合成に成功した。これにより、再生可能エネルギーを活用したクリーンな燃料製造技術の実現が期待されている。
今回の技術では、太陽光や風力発電から得られる「グリーン水素」と工場などから排出されるCO2を新たに開発した触媒に通し、LPGを合成する。この触媒は、従来技術では困難とされていたLPG成分の効率的な合成を可能にしており、1MPa以下の低圧条件でも安定した反応を実現する。
LPGは産業用および家庭用燃料として需要が高く、特に災害時には迅速な復旧が可能なエネルギー源として重要視されている。今回の成果に基づき、2025年春には年間3~4トン規模の実証実験を開始し、約1年間にわたるデータ収集と技術評価を行う予定だ。
また、グリーンLPG市場は国内で2035年までに200万トン、2050年までに800万トンへと拡大すると予想されている。カナデビアと産総研、AIST Solutionsは、この技術を社会実装し、持続可能なエネルギー社会の構築に寄与していく考えだ。
今回の技術開発を進めるにあたり、2023年4月には「カナデビア-産総研 循環型クリーンエネルギー創出連携研究室」を設立し、研究を推進してきた。この連携体制の下、カナデビアは既に展開している合成メタン(e-メタン)事業の知見を応用し、都市ガス成分やLPG成分を効率的に製造するための技術をさらに進化させている。
この技術が商業化されれば、年間数百万トン規模のCO2削減が見込まれるだけでなく、カーボンリサイクル型のエネルギー供給モデルとして、世界的な普及が期待されている。

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