オートロックマンション向け「スマート置き配」の導入が全国で急速に広がっている。開発・運営を手がける株式会社ライナフによると、導入棟数はすでに15,000棟を超え、再配達問題の解消と物流効率化を背景に、さらなる拡大が見込まれている。大手不動産や生活協同組合との連携も進み、「スマート置き配」は暮らしを支える社会インフラとして、その存在感を増している。

15,000棟を突破、スマート置き配が変える「受け取り」の常識。

宅配便の再配達率が10%を超えるとされる現在、都市部における物流効率の低下と環境負荷の増大が深刻な課題となっている。こうした背景のもと、ライナフが提供する「スマート置き配」が着実にその導入棟数を伸ばしている。2025年時点で、全国15,000棟を超えるオートロック付きマンションに導入されており、東京都内では対象物件が10%を占める勢いだ。
スマート置き配とは、ライナフのスマートロック「NinjaEntrance」を活用し、配達員が共用エントランスを安全に解錠し、玄関前まで荷物を届ける仕組み。受取人が不在でも荷物を確実に受け取れるため再配達は不要で、導入物件に住む約50万世帯が利用し、環境負荷の低減や人手不足の解消にも寄与している。

不動産×テック×物流、東急不動産・アスクルとの連携で新展開。

導入が進む背景には、不動産や流通企業との積極的な連携もある。東急不動産・アスクル・ライナフの3社は、賃貸レジデンス「COMFORIA」シリーズで、日用品の月1回配送サービスをスタート。スマートフォンから簡単に申し込めば、アスクルが商品を調達し、スマート置き配で玄関先まで届けるという仕組みだ。
重くてかさばる日用品を定期的に届けるこのサービスは、対面不要・再配達不要の快適な受け取り体験を実現し、特に高齢者や子育て世帯から好評を博している。2025年2月に開始されたこの取り組みは、すでに9棟で実施されており、今後さらに拡大する予定だ。
この仕組みは単なる利便性の提供にとどまらず、生活支援インフラとして住環境の価値を高め、マンションの差別化や資産価値の向上にも直結する。

北海道でも導入加速、コープさっぽろとの協働で利便性向上。

導入の広がりは首都圏にとどまらない。北海道を拠点とするコープさっぽろは、宅配サービス「トドック」において、2025年6月からライナフの「スマート置き配」を本格導入。札幌市内の雁来センターからスタートし、順次エリアを拡大していく計画だ。
これまでオートロック付きマンションでは不在時に玄関先まで荷物を届けられず、配送効率の低下と再配達によるコスト増が課題だった。スマート置き配の導入により、そうした課題が一挙に解消され、配達業務の効率化が図られることになる。
同サービスは、マンション管理会社との連携によってセキュリティも担保されており、組合員にとっても安心して利用できる仕組みとなっている。コープさっぽろは、この取り組みを「人と人」「人と食」「人と未来」をつなぐ実践的な手段として位置づけている。

物流の課題を暮らしの快適さに変える、ライナフの挑戦。

国土交通省と経済産業省は、2025年4月を「再配達削減PR月間」と定め、官民一体での対策を進めている。こうした政策的後押しもあり、「スマート置き配」は一層の導入拡大が見込まれている。ライナフは年間1万棟ペースでの拡大を目指しており、将来的にはマンションなどでの標準設備として定着する可能性が高い。
「スマート置き配」は単なる技術サービスではなく、暮らしを支え、社会課題を解決する新たな都市型インフラとしても期待されている。持続可能な物流体制の構築、CO2削減、住民満足度の向上…、そのすべてに貢献する「見えない力」として、今後ますますの存在感を放っていくだろう。

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