スキージャンプの髙梨沙羅選手が発起人を務める「JUMP for The Earth PROJECT」は、蔵王の樹氷を未来へつなぐため、オオシラビソの植樹活動を実施した。髙梨選手をはじめ、地元の村山産業高等学校の生徒やサポーターなど約45名が参加。次世代へ豊かな自然環境とスノースポーツの舞台を残すため、具体的なアクションを起こした。

危機に瀕する蔵王のシンボル「樹氷」。

蔵王の冬のシンボル「樹氷」は、オオシラビソ(アオモリトドマツ)の木に雪と氷が付着して形成される。しかし近年、温暖化の影響などでオオシラビソが枯れる被害が深刻化し、樹氷の未来が危ぶまれている。スキージャンプ選手として雪不足や環境の変化を肌で感じてきた髙梨選手は、自身がW杯初優勝を飾った思い出の地・蔵王の自然を守るため、このプロジェクトを立ち上げた。

高梨沙羅さん

高校生が先生役、未来を育む協働作業。

今回の活動では、参加者がユートピアゲレンデ周辺でオオシラビソの稚樹を探索・採取し、蔵王ロープウェイ地蔵山頂駅付近へ15本を移植した。活動の中心となったのは、地元の村山産業高等学校の生徒たち。開会式で樹氷形成の仕組みを説明し、植樹作業では参加者に指導を行った。髙梨選手は「想像以上に重労働だったが、みんなで協力してやり遂げられた」と語り、次世代を担う若者たちと汗を流した。

スポーツ×環境、次世代へつなぐアクション。

このプロジェクトは、単なる環境保護活動に留まらない。髙梨選手の発信力を活かし、気候変動を「自分ごと」として考えるきっかけを社会に提供する狙いがある。また、子どもたちが自らの手で稚樹を植える体験を通じて、未来を育む意識を醸成することも目指す。髙梨選手は「次世代の子どもたちが樹氷を見て感動し、自然から学べる環境を守ることは、私自身の競技の基盤にもつながる」と、活動継続への決意を新たにした。

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