★ここが重要!

★要点
SSFF & ASIA 2026の「地球を救え!環境大臣賞」に、カナダのアニメーション作品『我々が滅びたあとで』が選ばれた。人類が消えた後の世界を動物の視点から描き、自然との共生や地球の未来を問いかける作品だ。
★背景
気候変動や生物多様性の損失が深刻化するなか、世界では自然を回復させる「ネイチャーポジティブ」の動きが広がっている。だが、自然再興は制度や技術だけでは進まない。人間中心ではない視点から地球を見つめ直す想像力も求められている。

環境問題を、もし人間ではなく「動物の視点」から見たらどう映るだろうか?
気候変動や生物多様性の危機が語られる時代だが、その多くは人間社会への影響を軸に語られる。しかし地球には、人間以外にも無数の生命が暮らしている。
環境の日である6月5日、ショートショート フィルムフェスティバル & アジア(SSFF & ASIA)が発表した環境大臣賞受賞作『我々が滅びたあとで』は、そんな当たり前でありながら見落とされがちな視点を私たちに投げかける。

人類が消えた後の世界を描く、環境大臣賞受賞作

ショートショート フィルムフェスティバル & アジア(SSFF & ASIA)は、環境問題への優れたメッセージを持つ作品に「地球を救え!環境大臣賞」を授与している。2026年の受賞作に選ばれたのは、カナダのアニメーション作品『我々が滅びたあとで』だ。
本作の物語の舞台は、人類が姿を消した未来の地球。静寂に包まれた人間の廃墟を背景に、オオカミとクズリが旅を続ける。彼らは互いを信頼しながら、新たな世界で生きる道を探していく。
環境問題を扱う作品でありながら、そこに人間は登場しない。主役は自然であり、動物たちだ。その構図が、私たちの固定観念を静かに揺さぶる。
環境大臣賞の選考では、自然の再生力や共生の可能性を繊細かつ力強く描き出し、環境問題を「未来の危機」ではなく「今行動すべき課題」として感じさせる点が高く評価された。

地球を“人間中心”で見ないという選択

環境保全や持続可能性を語るとき、私たちは無意識のうちに人間を中心に据えている。
温暖化が進めば生活が脅かされる。森林が失われれば資源が不足する。もちろんそれらは重要な問題だ。しかし自然の価値は、人間に利益をもたらすことだけでは測れない。
近年、国際社会では「ネイチャーポジティブ」という考え方が広がっている。自然への負荷を減らすだけでなく、生態系そのものを回復させ、より豊かな状態へ導こうという考え方だ。
その背景には、人間も自然の一部であるという認識がある。
『我々が滅びたあとで』は、その思想を映像として体現している作品とも言える。人類が消えた世界で続いていく生命の営みを描くことで、私たちに「地球は誰のものなのか」という根源的な問いを投げかける。

映像文化がつなぐ、ネイチャーポジティブへの入口

環境問題は複雑だ。
気候変動、生物多様性、水資源、森林破壊。
地球の課題は多岐にわたり、解決の糸口を探るには専門知識も必要になる。
そのため、生活している市民たちとは、どうしても距離が生まれやすい。
一方で、映画や物語には難しい課題を身近な体験へと変える力がある。
誰かの視点を追体験すること。知らない世界を想像すること。それは数字や統計だけでは得られない理解につながる。
SSFF & ASIAは2008年から環境をテーマとした作品の発信を続けてきた。温暖化対策から生物多様性まで、映像文化を通じて社会課題を伝えてきた歩みは、環境コミュニケーションの新しい形とも言えるだろう。
環境問題を「知る」だけでなく、「感じる」。その入り口としてショートフィルムが果たす役割は大きい。

夏休み前だからこそ、親子で考えたい自然との関係

受賞作を含む作品群は、6月30日までオンラインで配信されている。
ショートフィルムの魅力は短時間で鑑賞できることだ。
忙しい日常のなかでも気軽に触れられ、親子での視聴や教育現場での活用にも向いている。
まもなく迎える夏休みは、自然や環境について考える機会が増える季節でもある。
昆虫採集やキャンプ、海や山での体験は、人々と自然との距離を縮めてくれるからだ。
そうした体験の前後に本作を観ることで、自然を見る視点はより豊かになるかもしれない。
環境教育の本質は、知識の詰め込みではない。自然と自分との関係を考えるきっかけづくりだ。

地球を修理するには、想像力も必要だ

世界では今、脱炭素技術や再生可能エネルギー、自然再生プロジェクトなど、地球環境を修復するための取り組みが加速している。
しかし、技術だけで未来は変わらない。
どれだけ優れた制度を整えても、どれだけ革新的な技術を生み出しても、その先にあるべき未来を想像できなければ社会は動かない。
『我々が滅びたあとで』が描くのは、人類のいない世界で続いていく生命の物語だ。その視点は、自然との関係を見つめ直すきっかけとなる。
地球を修理する時代に必要なのは、技術者の知恵だけではない。動物の目線で森を見つめ、未来世代の立場で現在を考え、人間以外の存在を想像する力だ。
自然再興は制度から始まることもある。だが、その一歩手前には必ず想像力が付き物だ。
ネイチャーポジティブな未来は、まず地球を人間以外の視点から見つめることから始まるのかもしれない。

■『我々が滅びたあとで』
https://www.shortshorts.org/2026/program/after-us/
https://youtu.be/Xt9TTI4NgaA
■ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2026
オフィシャルサイト:https://www.shortshorts.org/2026

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