建設関連製品事業や海洋事業等を展開する岡部株式会社は、多段式海藻養殖技術を開発し、ブルーカーボン事業の推進に向けて島根県隠岐郡海士町での養殖試験を開始した。この技術により、効果的なCO2固定と海藻の二次利用を目指す。

CO2吸収と二次利用の可能性

岡部株式会社は2023年9月から、島根県隠岐郡海士町の海域で「多段式養殖施設」を設置し、CO2の効果的な固定方法を検証している。この施設は、海藻種苗培養技術を活用し、上段にワカメ、中段にワカメ雑種(ワカメとアオワカメの交雑体)、下段に日本海特産のツルアラメを配置する3段構成となっている。各段の海藻は、生育水深が異なるため、最適な組み合わせを模索している。
隠岐諸島沿岸は浅場から深場まで多様な海藻が生育する環境にあり、特にコンブやホンダワラ類の藻場が形成されている。これらの海域において、多段式養殖施設は効果的なCO2吸収を目指し、養殖海藻の収穫量を最大化するための最適な配置を検討している。
多段式養殖は、海藻の成長と収穫時期の分散によって作業効率を高める。また、養殖海藻の種類を増やすことで、さまざまな用途への応用が可能となる。収穫された大型褐藻は、食用や工業原料としての利用が検討されている。
岡部は、本件を含む海洋環境保全活動を通じて、SDGs目標「14.海の豊かさを守ろう」に貢献。企業理念である「安全・安心の提供を通じて社会に貢献する」の実現を目指し、持続可能な社会の構築に向けた取り組みを進めていく方針。
今回の多段式養殖施設の導入により、複数の海藻を効率的に養殖することが可能となる。海藻の生育深度に合わせた段階的な配置とすることで、最大限の収穫量を見込む。また、海藻の成長時期や収穫時期が異なるため、作業分散による生産効率の向上も図る。
岡部は、今回の試験を通じて得られたデータを基に、ブルーカーボン事業の本格展開を視野に入れている。海藻の養殖によるCO2吸収の実証とその応用により、環境負荷の軽減と持続可能なエネルギー資源の確保を目指す。

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