三菱HCキャピタル、ローソンなど4社は、全国のローソン店舗に分散型蓄電池を設置し、遠隔制御によって店舗全体のエネルギーを最適化するソリューションを展開する。太陽光発電の余剰電力を有効活用してCO2排出量を削減するとともに、店舗群をあたかも一つの発電所のように機能させ、社会的な課題となっている電力需給バランスの調整にも貢献する。

再エネ普及の課題と、店舗が持つポテンシャル。
2050年のカーボンニュートラル達成に向け再生可能エネルギーの導入が進む一方、天候に左右される太陽光発電などは、電力の供給が需要を上回る「余剰電力」を生み出し、電力需給バランスの維持が大きな社会課題となっている。ローソンはこれまでも店舗への太陽光発電設備導入を進めてきたが、夜間の電力を賄えない、そもそも設備を設置できない店舗がある、といった課題を抱えていた。今回の取り組みは、これら両者の課題を同時に解決する試みだ。
再エネ普及の課題と、店舗が持つポテンシャル。
このソリューションでは、まず三菱HCキャピタルがローソン約50店舗に蓄電池を初期費用・運用費用なしで設置。MCリテールエナジーがこれらの蓄電池を遠隔で制御する。具体的には、太陽光で発電した電力を蓄電池に効率よく充放電させ、自家消費を最大化。さらに余剰電力は、太陽光パネルを設置していない他の店舗へ融通するなど、店舗群全体のエネルギーを最適にコントロールする。これにより、チェーン全体のCO2排出量削減を加速させる。
「調整力」として市場取引、社会インフラとしてのコンビニへ。
この取り組みの先進性は、店舗のエネルギー最適化に留まらない。MCリテールエナジーは、蓄電池群を「調整力」として、電力の需給バランスを維持するために創設された「需給調整市場」や「容量市場」で取引を行う。これにより、電力系統全体の安定化に貢献する。需要家である店舗に分散設置された多数の蓄電池を遠隔制御し、需給調整市場で実際に取引するこのモデルは、国内でも極めて先進的だ。ローソンが単なる小売店から、地域のエネルギー需給を支える社会インフラへと進化する可能性を示す。