株式会社吉野家ホールディングス(本社:東京都中央区)は、牛丼製造の過程で発生する玉ねぎの端材をアップサイクルし、食品ロス削減に向けた持続可能なスキームを構築した。食品ロス削減への意識が高まる中、同社はスタートアップ企業AFP社との協業により、規格外食材の新たな活用方法を実現し、「令和6年度食品ロス削減推進表彰」において環境事務次官賞を受賞した。
玉ねぎ端材を活用し、年間約180トンのフードロス削減を達成
吉野家ホールディングスは、日々大量の玉ねぎを使用する牛丼の製造工程で発生する規格外の端材を従来は廃棄していた。しかし、この問題解決に向け、同社は2023年からスタートアップ企業のASTRA FOOD PLAN(AFP)社と提携。AFP社が開発した過熱蒸煎乾燥法を活用し、玉ねぎ端材を粉末化することで保存性を向上させ、風味を活かした新しい食材として再利用する仕組みを整えた。
この新技術の導入により、吉野家東京工場内で玉ねぎのアップサイクルが完結できるようになったため、廃棄処理のコスト削減と同時に、年間180トンにのぼるフードロス対策が実現した。また、AFP社とのスキームにより、玉ねぎ端材粉末の販路拡大や「玉ねぎぐるりこ」などの製品化も進められている。
この取り組みによって、吉野家は単なる廃棄物削減にとどまらず、食品素材の有効活用を図る。牛丼の食材すべてを無駄なく利用し、サステナブルな食材活用モデルを確立することで、業界全体の食品ロス削減のロールモデルとなることを目指している。今後も食品ロス削減に取り組み、循環型経済の実現に貢献していく方針だ。