東急不動産ホールディングス株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:西川弘典)は、みずほ銀行が提供する「Mizuho 自然資本インパクトファイナンス」の契約を締結し、2025年2月28日に約120億円の資金調達を実行した。本件は、同社の自然資本に対するインパクトが評価され、日本国内の不動産業界で初めての事例となる。

ネイチャーポジティブ経営の推進に向けた資金調達
企業の持続可能性が重視される中、環境配慮型のファイナンスが拡大している。「Mizuho 自然資本インパクトファイナンス」は、みずほ銀行とみずほリサーチ&テクノロジーズが開発した融資枠組みで、企業の自然資本への取り組みを評価し、一定以上の基準を満たした企業に対して融資を行う仕組みだ。東急不動産ホールディングスはこの評価を受け、第一号案件として契約を締結した。
本商品のフレームワークは、環境省の「インパクトファイナンスの基本的考え方」に適合すると日本格付研究所が評価。さらに、国連開発計画(UNDP)の専門家の助言を受け、みずほ銀行とみずほリサーチ&テクノロジーズが開発した。融資後も、KPIに基づく定期的なモニタリングとフィードバックが行われ、企業の取り組みが継続的に評価される。
生物多様性への取り組みとネイチャーポジティブの実現
東急不動産グループは、創業以来、社会課題に向き合いながら事業を展開してきた。長期ビジョン「GROUP VISION 2030」では、「脱炭素社会」「循環型社会」「生物多様性」の3つを環境重点課題として掲げている。特に生物多様性については、2011年に生物多様性方針を策定し、2023年度に改訂。自然と共生する取り組みを強化してきた。
不動産業界において、ネイチャーポジティブ経営の推進は不可欠だ。東急不動産は、国内不動産業で初めて、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)最終提言を参照した「TNFDレポート」を策定・開示。自社の事業活動が自然資本に与える影響を可視化し、都市開発事業やリゾート事業を通じた貢献を明確にしている。
ESGファイナンスの拡大と今後の展望
近年、環境・社会・ガバナンス(ESG)に配慮したファイナンスの重要性が高まっている。東急不動産グループは、持続可能な開発を推進するため、環境を起点とした事業機会の拡大を進めている。
今後も同社は、ネイチャーポジティブ経営を基盤にした資金調達を進め、ステークホルダーとの協力を強化しながら、企業価値の向上を目指していく。ESGファイナンスの活用により、環境配慮型の不動産開発・運営を推進し、持続可能な社会の実現に貢献する方針だ。