ダイキン工業、東急、東急レクリエーション、東急不動産の4社は、国土交通省の補助事業のもと、東京・渋谷エリアで「まちなかにおける屋外クールダウンプロジェクト」を2025年7月より開始する。屋外用エアコンなどを活用した「クールスポット」の設置と、空調室外機の緑化を組み合わせ、都市の深刻な暑熱問題に対する新たな解決策を探る。

屋外エアコンと緑化の相乗効果で、環境負荷なく街を冷やす試み。
近年、全国的に猛暑日が頻発し、都市部におけるヒートアイランド現象は市民生活や経済活動の大きな課題となっている。屋外での快適性が損なわれ、熱中症リスクが高まる中、抜本的な対策が求められていた。この状況を受け、ダイキン工業と東急グループなどは、人々が屋外でも快適に過ごせる街づくりを目指し、先進的な実証実験に乗り出す。
このプロジェクトでは、渋谷区立北谷公園や渋谷サクラステージといった人が集まる場所に、ダイキンの屋外用エアコン「アウタータワー」やミスト装置を組み合わせたクールスポットを設置。熱中症予防の指標となる暑さ指数(WBGT値)を効果的に低下させ、利用者の行動変容を分析する。クールスポットが人々の滞在時間や回遊性に与える影響を把握し、快適な都市空間創出の知見を得る狙いだ。
同時に、東急不動産が管理するビルの屋上などでは、空調室外機の周囲をサツマイモの葉で覆う「芋緑化」を実施。葉の日陰効果と蒸散作用によって室外機周辺の温度上昇を抑え、空調の運転効率を改善する。この省エネ効果でクールスポットの消費電力を相殺し、環境負荷を増やさずに街のクールダウンに挑戦する。こうした一連の取り組みで得られるデータは、快適性向上と省エネを両立させる手法の確立に繋がる。気候変動への適応策が急務となる中、この渋谷での挑戦は他の自治体やデベロッパーにとっても貴重な先行事例になりそうだ。本実験の成果は、全国の都市開発に活かせるガイドラインとして、持続可能な社会の実現に貢献することが期待される。