
★要点
1856年創業、フランス最古のマルセイユソープ工場を持つフェール・シュヴァルが、2026年1月より日本で本格的なブランド展開を開始。99%以上天然由来成分でありながら高い洗浄力を持つナチュラル洗剤を通じ、家庭から始まる環境負荷低減を提案する。
★背景
気候変動や水質汚染への関心が高まる一方、ナチュラル洗剤は「落ちない」という不信感も根強い。生活排水が環境負荷の大きな割合を占める今、機能と倫理を両立する日用品の再定義が求められている。
「ナチュラル=やさしいが、頼りない」。そんな固定観念を、170年の歴史が静かに覆す。フランス・マルセイユで生まれたフェール・シュヴァルは、石けんを単なる消耗品ではなく、生活と環境をつなぐ技術として磨き続けてきた。2026年、日本で初めて本格的なブランド展開が始まる。その背景には、世界的な環境意識の高まりと、家庭のあり方を見直す時代の要請があった。
「本物のマルセイユソープ」とは何か――文化財としての洗剤
フェール・シュヴァル(Fer à Cheval)は1856年創業の、マルセイユ伝統の大釜による釜炊き製法を今も守り続ける、数少ないメーカーの一つだ。植物性油脂72%以上、合成添加物不使用。これらの厳格な条件は、ルイ14世の王令にまで遡る。
この製法と技術は、フランス政府から無形文化財企業(Entreprise du Patrimoine Vivant)として認定されている。洗剤でありながら、文化遺産でもある事実が、このブランドの立ち位置を物語る。


なぜ今、ナチュラル洗剤なのか――家庭排水という環境課題
生活排水が水環境に与える影響は大きく、その多くを洗濯とキッチンが占める。気候変動や生態系破壊が加速する中、個人の暮らしが環境に与える影響は無視できなくなっている。
フェール・シュヴァルの洗剤は、99%以上が植物由来成分で生分解性が高く、水に戻る負荷を最小限に抑える設計だ。RSPO認証パーム油の使用や、リサイクル可能なパッケージなど、製品の外側にも配慮が行き届いており、環境対策は思想ではなく、設計の問題であることを示している。

「落ちない」を覆す――弱アルカリ性による強洗浄
ナチュラル洗剤が敬遠されてきた最大の理由は、洗浄力への不安だ。フェール・シュヴァルは、マルセイユソープ由来の弱アルカリ性という特性を活かし、油汚れや皮脂汚れに強い処方を実現している。
商品の一つであるブラックソープは、キッチンから床、衣類、アウトドア用品まで対応する万能型。少量で高い効果を発揮し、結果的に使用量と排水負荷を減らす。これは感覚的な「エコ」ではなく、理にかなった生活技術だ。

掃除は我慢ではなく、選択――生活の質を下げないエシカル
環境配慮は、ともすれば不便さと引き換えに語られる。しかしフェール・シュヴァルの製品は、香り、使用感、デザインまで含めて「心地よさ」を手放さない。
柔軟剤不要のランドリーリキッドは衣類を傷めにくく、結果として服の寿命を延ばす。ガラスクリーナーは拭き跡を残さず、掃除のストレスを減らす。エシカルとは、我慢ではなく、より良い選択肢を持つことだと気づかされるだろう。

日本展開の意味――日用品から文化を育てる
2026年1月、日本公式サイトとSNSが立ち上がり、POP UP SHOPを皮切りに本格展開が始まる。総代理店を務めるエモーショナルスカイは、単なる販売ではなく、ブランドストーリーの浸透とファンづくりに注力する構えだ。
日用品は、誰もが毎日使う。だからこそ、選択が文化になる。フェール・シュヴァルの日本上陸は、洗剤を変える話であると同時に、暮らしの価値基準を少しだけ更新する提案でもある。
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