
★要点
文化服装学院×SHIBUYA109×ZOZOが連携し、古着約600点を素材に学生が社会課題を可視化。ファッションを「消費」から「思考と表現」のメディアへ転換する実践が、渋谷の中心で公開される。
★背景
ファストファッションの限界、分断が深まる社会、拡散するフェイク情報。複雑化する時代に対し、Z世代はファッションを通じて「感じた違和感」を言葉と造形に変え、社会と対話しようとしている。
古着は、ただの着られなくなった服ではない。文化服装学院の学生たちは、そこに縫い込まれた時間や矛盾をほどき、社会課題を映す作品へと作り変えた。ZOZOUSEDの基準に満たなかった衣服を使い、社会課題をテーマにつくり上げた44のルックを、SHIBUYA109で展示する。今、流行の発信地から未来への問いが掲げられる。
600着の古着、44の視点――アップサイクルを学びに変える設計
本企画に参加したのは、文化服装学院(学校法人文化学園、所在地:東京都渋谷区、理事長:清木孝悦 学院長:相原幸子)のファッション流通科の1年生約300名。44チームに分かれ、株式会社ZOZO(本社:千葉県千葉市、代表取締役社長兼CEO:澤田 宏太郎)より提供された、ZOZOUSEDの販売基準に満たない古着約600点を再構築した。注目したいのは「何を問題と捉え、どう可視化するか」という思考のプロセスだ。
2026年1月22日(木)、学院内で行われる公開プレゼンテーションでは、全ルックがランウェイ形式で披露され、選出された12作品がSHIBUYA109(運営:株式会社SHIBUYA109エンタテイメント、本社:東京都渋谷区、社長:石川あゆみ)で展示予定。制作から発表までを含めた一連の流れそのものが、教育プログラムとして設計されている。


ファッションは社会を語れるか――Z世代が選んだテーマ群
学生たちが向き合ったのは、環境汚染やファストファッションによる大気汚染といった王道の環境問題だけではなく、ネグレクト、同性婚、闇バイト、ネット依存、AIによるフェイクニュース……といった多岐にわたる問題だ。
特徴的なのは、SNSやアルゴリズムと共に育った世代ならではの感度。MBTI診断やマイクロアグレッションといった、言語化しにくい違和感もテーマとしてすくい上げられている。衣服は主張をまとうメディアとなり、沈黙しがちな問題に輪郭を与える。
SHIBUYA109という「街メディア」――展示と映像で拡張する発信
2月25日(水)より展示されるSHIBUYA109は、単なる商業施設ではなく、若者文化の変遷を映してきた都市のスクリーンだ。8階イベントスペースでの展示に加え、2階COCO SPOTでは作品動画が放映される。
さらに、2月13日(金)正午にはZOZOTOWN内の「elove by ZOZO」で、制作過程を追ったドキュメンタリーも公開予定。リアルとEC、空間とアーカイブを横断し、発信は一過性で終わらない構造を持つ。
企業×教育の次段階――CSRから共創インフラへ
この取り組みが示すのは、企業協賛型CSRの一歩先だ。ZOZOは古着流通の実データと素材を提供し、SHIBUYA109は発信の場を開く。文化服装学院は、教育を社会と直結させる。
重要なのは、答えを教えられることなく学生自身が課題を発見し、分析し、表現することだ。その力こそが、変化の激しい時代に必要なスキルとなる。アップサイクルは環境配慮の手段であると同時に、思考訓練の装置でもある。
未来へ縫い継ぐもの――消費社会の外側へ
世界的に衣料廃棄量は増え続け、規制や倫理だけでは追いつかない段階に入っている。だからこそ、若い世代が自分ごととして語る回路が必要だ。
古着を素材に考え、つくり、語る。その一連のプロセスは、消費の外側に立つ練習でもある。
渋谷に並ぶ44のルックは、完成形ではない。次の問いを誰かに手渡すための、通過点だ。
【展示概要】
期間:2026年2月25日(水)~3月10日(火)
会場:SHIBUYA109渋谷店 2階COCO SPOT、8階イベントスペース
https://www.bunka-fc.ac.jp/ct-collabo/50856/
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